目次
はじめに
みなさん、こんにちは。
たつの市にあるフジイ整骨院 院長の藤井です。
秋の爽やかな風を感じながら走る気持ち良さは格別です。
しかし、マラソントレーニングに本格的に取り組み始めた途端、股関節に違和感を覚え、痛みが徐々に強くなってきた。
そんな経験をされている方も多いのではないでしょうか。
「走り始めは調子が良かったのに、距離を伸ばすにつれて股関節が痛くなってきた」「朝起きた時の股関節の違和感が気になる」
「このまま走り続けて大丈夫なのか不安」という悩みを抱えているランナーの方々の気持ちは本当によく分かります。
特に、マラソン大会に向けて練習量を増やしている時期に股関節を痛めると、トレーニング計画全体に影響が出てしまいます。
股関節の痛みは、適切な対処をしないと慢性化しやすく、最悪の場合は長期間のランニング休止を余儀なくされることもあります。
しかし、股関節の痛みには明確な原因があり、その多くは予防可能なものです。
痛みが出てから対処するのではなく、事前に自分の体の特徴を理解し、適切なケアを行うことで、快適にトレーニングを続けることができます。
この記事では、マラソンで股関節を痛めやすい人の特徴を詳しく解説し、筋肉のアンバランスがどのように痛みを引き起こすのかを科学的に説明します。
さらに、トレーニング前後に必ず行いたい股関節ケアの具体的な方法をご紹介します。
秋のマラソンシーズンを股関節の痛みに邪魔されることなく、存分に楽しんでいただくための知識をお伝えします。
マラソンで股関節を痛めやすい人の特徴とは?フォーム・骨盤の安定性・柔軟性の3つがランニングを左右する理由
マラソンで股関節を痛めやすい人には、いくつかの共通した特徴があります。
これらの特徴を理解することで、自分がリスクを抱えているかどうかを判断し、早期に対策を講じることができます。
まず最も多いのが、「走行フォームの問題」を抱えている人です。
特に、着地時に膝が内側に入る「ニーイン」と呼ばれる動作パターンを持つ方は、股関節への負担が大きくなります。
この動作では、股関節が過度に内旋(内側に捻る動き)し、関節の適合性が悪くなります。
鏡の前で片足立ちをした時に、膝が内側に入る傾向がある方は注意が必要です。
次に多いのが、「骨盤の安定性が低い」タイプです。
ランニング中、骨盤が左右に大きく揺れる、または前後に過度に傾く方は、股関節の周りの筋肉が正常に機能していない可能性があります。
中殿筋(お尻の横側の筋肉)や腸腰筋(股関節の前側の深い筋肉)の筋力不足が原因であることが多く、この状態で走り続けると股関節への負担が蓄積します。
「柔軟性の問題」も見落とせません。
特に、腸腰筋(股関節の前側の筋肉)や大腿筋膜張筋(太ももの外側の筋肉)が硬い方は、股関節の動きが制限され、正常な動きができなくなります。
デスクワークで長時間座る習慣がある方は、これらの筋肉が短縮しやすく、ランニング時に問題が顕在化します。
「急激なトレーニング量の増加」も大きなリスク要因です。
前週比で走る距離を10%以上増やすと、組織が適応する前に過負荷となり、痛みが発生しやすくなります。
特に、マラソン大会に向けて焦って距離を伸ばそうとする方に多く見られます。
体が新しい負荷に適応するには時間が必要で、段階的な増加が重要です。
また、「過去の怪我の影響」も無視できません。以前に足首や膝を痛めたことがある方は、
その影響で走行フォームが変化し、股関節に過度な負担がかかることがあります。
古い怪我の代償動作が、新たな問題を引き起こすことは珍しくありません。
股関節の痛みは筋肉バランスの乱れが原因?屈筋群や伸筋群の不均衡が骨盤をゆがめるメカニズム
股関節の痛みの多くは、周りの筋肉の力のバランスが崩れることで発生します。
股関節は球関節という非常に動きの範囲の大きい関節で、多方向への動きが可能ですが、その分、筋肉による安定化が重要になります。
最も一般的なアンバランスは、「屈筋群と伸筋群の不均衡」です。
腸腰筋(股関節の前側の筋肉)や大腿直筋(太ももの前側の筋肉)といった屈筋群が優位になり、
大殿筋(お尻の大きな筋肉)やハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)といった伸筋群が弱い状態です。
この状態では、骨盤が前傾しやすく、股関節の前側に過度な圧力がかかります。長時間のデスクワークがある方に特に多く見られるパターンです。
「内転筋群と外転筋群のアンバランス」も重要です。
内転筋群(太ももの内側の筋肉)が硬く、中殿筋(お尻の横側の筋肉)や小殿筋(お尻の横側の深い筋肉)が弱いと、
片足立ち時に骨盤が傾き、股関節への負担が増加します。
この状態でランニングを続けると、腸脛靭帯炎(膝の外側の痛み)や股関節の外側の痛みを引き起こすことがあります。
筋肉のアンバランスは、「関節内の圧力分布の変化」をもたらします。
正常な状態では、股関節の軟骨表面全体に均等に圧力が分散されますが、筋肉のバランスが崩れると、特定の部位に過度な圧力がかかります。
この不均等な圧力が長く続くと、軟骨の損傷や炎症を引き起こし、痛みとして現れます。
また、「筋肉の協調性の低下」も問題です。股関節の動きは、複数の筋肉が適切なタイミングで働くことで成り立っています。
しかし、特定の筋肉が弱かったり硬かったりすると、他の筋肉が過剰に働いて代償しようとします。
この代償パターンが続くと、過剰に働く筋肉が疲労し、痛みを引き起こします。
股関節の痛みを防ぐには準備がカギ!マラソン前後におすすめの動的ストレッチ&静的ストレッチ
股関節の痛みを予防し、快適にランニングを続けるためには、トレーニング前後の適切なケアが不可欠です。
ここでは、効果的で実践しやすい具体的な方法をご紹介します。
トレーニング前のウォームアップでは、「動的ストレッチ」が効果的です。
股関節の前後への振り子運動を各脚10回、左右への振り子運動を各脚10回行います。
また、片足立ちで膝を胸に引き寄せる動作や、横向きに大きく脚を開く動作を繰り返すことで、股関節の動く範囲を広げ、周りの筋肉を活性化させます。
これらの動作により、筋肉の温度が上がり、関節液の循環が促進されて、ランニング時の怪我のリスクが低減します。
「股関節周りの筋肉活性化エクササイズ」も重要です。
特に中殿筋(お尻の横側の筋肉)を活性化するために、横向きに寝て上側の脚を上げる運動を各脚15回行います。
また、ブリッジ姿勢(仰向けで膝を曲げ、お尻を持ち上げる)を10回繰り返すことで、
大殿筋(お尻の大きな筋肉)とハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)を活性化させます。
これらの筋肉が適切に働くことで、ランニング中の骨盤の安定性が向上します。
トレーニング後のクールダウンでは、「静的ストレッチ」を中心に行います。
腸腰筋(股関節の前側の筋肉)のストレッチは、片膝を床につき、反対側の脚を前に出した姿勢で、腰を前に押し出すように30秒間キープします。
大腿筋膜張筋(太ももの外側の筋肉)のストレッチは、脚を交差させて横に倒す動作で30秒間キープします。
これらのストレッチにより、トレーニングで硬くなった筋肉を伸ばし、柔軟性を維持します。
「セルフマッサージ」も効果的です。
フォームローラーを使って、お尻や太ももの外側を各部位1-2分程度ほぐします。
特に、大腿筋膜張筋(太ももの外側の筋肉)や腸脛靭帯(膝から股関節につながる靭帯)の緊張を和らげることで、股関節への負担を軽減できます。
フォームローラーがない場合は、テニスボールを使ってお尻の筋肉をマッサージすることも有効です。
まとめ
いかがでしたか?
秋のマラソントレーニングで発生しやすい股関節の痛みについて、その原因と予防法を詳しく見てきました。
股関節を痛めやすい人には、走行フォームの問題、骨盤の安定性の低さ、柔軟性の不足、
急激なトレーニング量の増加といった共通の特徴があることがわかりました。
特に重要なのは、筋肉のアンバランスという根本的な問題です。
屈筋群と伸筋群の不均衡、内転筋群と外転筋群のアンバランスが、関節内の圧力分布を変化させ、痛みを引き起こします。
この問題を解決するには、トレーニング前後の適切なケアが不可欠です。
動的ストレッチによるウォームアップ、筋肉の活性化エクササイズ、トレーニング後の静的ストレッチ、
そしてセルフマッサージを組み合わせることで、股関節の痛みを効果的に予防できます。
これらのケアは1回あたり15-20分程度で実践でき、継続することで大きな効果が得られます。
ただし、すでに痛みが強く出ている場合や、これらのケアを実践しても症状が改善しない場合は、専門的な評価と治療が必要です。
股関節の痛みを放置すると、軟骨の損傷や慢性的な炎症に進行する可能性があります。
当院では、ランナーの体の特徴を詳しく評価し、個別の状態に合わせた施術とトレーニング指導を行っております。
股関節の痛みでお困りの方は、どうかお早めにご相談ください。
秋の爽やかな風を感じながら、股関節の痛みに邪魔されることなく、ランニングを楽しんでいただけることを心より願っています。
《柔道整復師・鍼灸師・あんま・マッサージ・指圧師 藤井敦志 監修》
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