こんにちは。たつの市フジイ整骨院 院長藤井です。
9月に入ってようやく朝晩だけは涼しくなってきました。
そんな時季に朝起きたら急にギックリ腰になったという人いませんか?
毎年ですが結構いらっしゃいます。
急な気候の変化に体がついていけなくなるからなんですね。
今回はギックリ腰ではないですが、腰椎の椎間板ヘルニアと診断を受けた患者さんがおられ、案外間違った知識をお持ちのまま悩んでおられましたので、そんな方が他にもいらっしゃるのではないかと考え、ヘルニアに対する考え方と対策を2回に分けてご紹介させていただきます。
これを読んでいただくことであなたの腰の痛みの原因がヘルニアだと言われても、しっかり治せるものだとわかっていただけることでしょう。
わたしがここで言いたいのはズバリ椎間板ヘルニアは腰痛やしびれの原因ではないと言うことなんです。
そう思えるようになったのにはいくつかの理由があります。
1、椎間板ヘルニアは健康な人でも持っている
2、ヘルニアは自然に消失する
3、手術をしないといけないヘルニアは全体の約20%ほどである
これらの理由からヘルニア=腰痛ではないと確信することになったのです。
1、椎間板ヘルニアは健康な人でも持っている
まずはこの論文をご覧ください
椎間板ヘルニアと診断された強い腰下肢痛を訴える患者46名と、年齢、性別、職業などを一致させた健常者46名の腰部椎間板をMRIで比較した結果、健常者の76%に椎間板ヘルニアが、85%に椎間板変性が確認された。http://1.usa.gov/iN3oKG
これは国際腰椎学会という学会でボルボ賞をとった有名な論文ですが、これをみても腰痛の症状が出ていない健常者にもヘルニアや椎間板変性がみられることがわかります。
つまりMRIを撮ってヘルニアの像がはっきり見えていたから腰痛の原因の全てがそのせいではないということを知っていただきたいのです。
もちろん原因の一つにはなりますが、これがあるからもう腰痛は治らないなどという考えにはなって欲しくないのです。
2、ヘルニアは自然に消失する
以前はヘルニアが確認された場合必ず手術で摘出をしないと治らないと考えられていましたが、今ではヘルニアは自然に消失することがあることから、強い麻痺や痛みが生じている場合をのぞき、最低約3ヶ月は経過を観察することが主流となっています。
これはヘルニアがあって強い痛みが生じている場合、炎症を鎮めるため血液成分の白血球の中にある異物を消失してくれる物質(マクロファージ)が活発になって異物を食べてくれるので、ヘルニアが自然に消失することがわかったからなのです。
ヘルニアがあると診断されてもすべておしまいではなく、ちゃんと勝手に消失することが多いということは知っておいていただければと思います。
3、手術をしないといけないヘルニアは全体の20%ほどである。
ヘルニアと診断されて手術が適応とされる場合には
①明らかに画像の所見と痛みが一致しており、じっとしているのも辛いというほどの強い痛みが足にまである場合
②両足に強い麻痺や筋力低下が見られる場合
③膀胱直腸障害といって排尿・排便する時の強い痛みがでるなどの症状が強い場合
これらの症状があった場合に限られます。
ヘルニアの所見が見られて上記の症状が強く見られた場合にはすぐにでも手術を受けた方がいいので早い処置をお勧めいたします。
しかし、ここまでの症状になるのは全体の20%ほど。
他の80%に至っては上記にあるように経過を観察するうちに自然に消失することもあれば、他の原因(筋肉や靭帯、関節など)に対する治療をすることによって改善する例がほとんどなのです。
それらの腰痛に対しては鍼灸とマニュピュレーション(手技)を行うことが有効であるという論文もあります。
これらのことから腰痛やしびれの原因がヘルニアにあるとは言えないということがおわかりいただけたでしょうか。
これでヘルニアと診断されて手術をしないともう治らないと落ち込んだり、牽引だけしていても治らないからもう手術しかないのかと悩んでおられる方も、他にも治療法があることを知っていただけたかと思います。
腰痛やしびれがある方にまずやっていただきたいこと。それは前かがみをして痛いのか、後ろに反って痛いのかを感じていただき、前かがみをして痛いという方はこのポジションをしばらく続けていただきたいということです。
1、うつ伏せに寝る
2、肘を立てて90度くらいまで息を吐きながら体をおこす
3、これを朝起きた時に一回1〜2分続けるだけ
これは当院でも必ずおすすめするポジションですのでここから始めてみましょう。
椎間板ヘルニアは必ず変化があります。悩んでばかりでなく治療に前向きになっていただきたいです。
次回は椎間板ヘルニアと診断された場合の治療法について書かせていただきます。
(柔道整復師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師 藤井 敦志監修)
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