目次
はじめに
40代以降になると、「歩くスピードが遅くなった」「以前より歩幅が小さくなった」と感じる方が増えてきます。
特に膝や股関節に違和感がある方は、無意識に歩幅を狭めて動くようになりがちです。
歩幅が小さい方が痛みを避けやすい気がするかもしれませんが、実はその習慣こそが関節の動きを制限し、さらに痛みを悪化させる原因となることがあります。
さらに、歩幅の縮小は体幹の働きを弱め、姿勢を崩し、全身に負担を広げる「悪循環」につながります。
本記事では、歩幅と関節の健康、そして体幹の意外な関係を解説し、改善につながるヒントをお伝えします。
膝痛・股関節痛を悪化させる「歩幅の小ささ」と筋力低下の深い関係について
膝や股関節に痛みが出ると、人は自然に「かばう歩き方」をとります。その一つが歩幅を小さくすることです。
確かに、足を大きく前に出さなければ痛みを感じにくいこともあります。
しかし、その代償として関節が十分に動かされなくなり、関節の可動域がどんどん狭まっていきます。
関節は「動かすことで栄養が行き渡る」という特徴があります。
関節内には滑液(かつえき)と呼ばれる潤滑油のような液体が存在し、動くたびにその液体が循環して関節軟骨を守っています。
ところが、歩幅が小さくなり関節の動きが小さくなると、この潤滑作用が十分に働かなくなり、軟骨の摩耗が進みやすくなるのです。
さらに、歩幅の縮小は筋肉にも悪影響を及ぼします。
太ももの前側(大腿四頭筋)やお尻の筋肉(大殿筋)は大きく脚を動かすときに使われますが、小さな歩幅ではほとんど動員されません。
その結果、これらの筋肉は徐々に衰えていき、関節を支える力が弱まります。
筋力が落ちれば、関節への負担はますます増し、痛みが強くなるという悪循環に陥るのです。
体幹の筋肉が弱ると膝や股関節の関節痛が進行する理由と体のバランスの崩れ
歩幅は単なる「脚の動き」ではなく、体幹とも密接につながっています。
体幹とはお腹や腰まわりの筋肉の総称で、骨盤や背骨を安定させる役割を持っています。
歩幅を大きくとると、自然に腕を振り、骨盤がしっかり回旋し、体幹が働きます。これにより全身のバランスが整い、効率よく歩けるようになります。
逆に、歩幅が小さいと腕の振りも減り、骨盤が動かなくなり、体幹が使われにくくなります。
すると、下半身の小さな筋肉だけで体を支えることになり、膝や股関節に負担が集中してしまうのです。
また、体幹が働かないと姿勢の安定性が失われます。骨盤が傾きやすくなり、左右どちらかの関節に偏った負担がかかることも少なくありません。
「歩くたびに右の膝だけ痛い」「左の股関節だけ違和感がある」といった症状は、このようなアンバランスが背景にあることが多いのです。
悪循環のメカニズムを整理すると
- 膝や股関節に痛みが出る
- 歩幅を小さくして痛みを避けようとする
- 関節の可動域が狭まり、筋肉も使われなくなる
- 体幹が働かなくなり、姿勢が不安定になる
- 関節への負担が偏り、痛みが悪化する
- さらに歩幅が小さくなる
このサイクルが続けば、数年後には「長く歩けない」「外出が億劫になる」といった生活の質の低下につながってしまいます。
膝痛・股関節痛を予防するために今日から始めたい歩幅改善の生活習慣の工夫
1. 腕を大きく振る
歩幅を広げるためには腕の振りが大切です。肩甲骨を意識して腕を後ろに引くように振ると、自然に骨盤が動き、脚も大きく前に出やすくなります。
2. 骨盤から脚を出すイメージ
「脚を前に出す」のではなく「腰から脚を出す」感覚を意識すると、股関節がしっかり動き、歩幅が広がります。
3. 足の着地をかかとから
歩幅が小さい人は、足裏全体やつま先寄りで着地しやすい傾向があります。意識して「かかとから着地 → 足裏全体 → つま先で蹴る」という流れを作りましょう。
4. 無理をせず平地から始める
痛みがある時期に急に歩幅を広げると、かえって悪化することもあります。段差や坂道は避け、平らな道でリズムよく歩くことから始めましょう。
5. 日常生活での歩数より「質」を重視
「1日1万歩」など歩数を追い求めるよりも、「歩幅を意識した30分のウォーキング」の方が関節にとって効果的です。
まとめ
歩幅が小さくなることは、膝や股関節の痛みをかばう一時的な工夫かもしれません。
しかし、それを続けると関節の可動域が狭まり、筋肉が弱り、体幹が使われなくなり、結果的に痛みを悪化させてしまいます。
歩幅を意識して広げることは、関節の健康を守るだけでなく、体幹を鍛え、姿勢を安定させ、全身のバランスを整える効果があります。
フジイ整骨院では、膝や股関節の痛みの根本原因を歩き方や姿勢のチェックから見極め、一人ひとりに合わせた改善法をご提案しています。
「最近歩幅が狭くなった」「長く歩くと膝が痛い」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
歩き方を変えることが、関節の未来を守る第一歩になります。
《柔道整復師・鍼灸師・あんま・マッサージ・指圧師 藤井敦志 監修》
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