目次
はじめに
【この記事の結論】
風邪で首・肩が痛くなるのは、①免疫反応による炎症、②咳で胸鎖乳突筋が過緊張、③自律神経の乱れ、の3つが原因です。
まずは首を温め、無理のないストレッチで対処しましょう。風邪が治っても痛みが残る場合は、筋肉バランスの乱れが疑われます。
風邪をひいたら首や肩まで痛い…その理由とは?
「風邪をひいたら、なぜか首や肩まで痛い…」そんな経験はありませんか?
熱や咳だけでもつらいのに、首こり・肩こりまで加わると本当にしんどいですよね。
実はこれ、風邪のせいで起きている「体の防御反応」が原因です。
この記事では、風邪で首や肩が痛くなる3つの原因と、今すぐ自宅でできる対処法をお伝えします。
当院にも先日、風邪をひいてから首が痛くて回らないという方がいらっしゃいました。
やはりこの方も首のある部分が固くなり、症状を長引かせていたのがわかりました。
風邪で首・肩が痛くなる3つの原因
原因① 免疫反応による炎症
風邪をひくと、体は病原体と戦うために免疫系を活性化させます。
この過程で炎症反応が起こり、筋肉や関節に痛みやこりを感じやすくなります。
特に首や肩の筋肉は、普段から使用頻度が高く、ストレスや姿勢の悪さによって緊張しやすい部位です。そのため、風邪をひくとこれらの部位の痛みがより顕著に現れるのです。
風邪による筋肉・関節痛は、医学的には「全身性炎症反応」の一部として起こることが知られています。国立感染症研究所の情報によると、ウイルス感染時には体内でサイトカインと呼ばれる炎症物質が放出され、これが筋肉痛や関節痛の一因となります。
(参考:国立感染症研究所「インフルエンザとは」https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/219-flu.html)
原因② 咳・くしゃみによる筋肉への負担
頻繁に咳をすると、「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」という首の前側にある筋肉に過度の緊張が生じます。
咳をした瞬間に首の辺りに「いたっ!」と感じた覚えはないでしょうか? それが胸鎖乳突筋の過緊張です。
当院に来られた患者さんも、咳のしすぎで首の前の筋肉、特に胸鎖乳突筋に強い緊張が見られました。
咳をする筋肉は肋骨の周りにも影響し、動きを小さくさせていることがわかりました。
中には肋骨にヒビが入った患者さんもいらっしゃいました。それくらい咳は体に負担がかかるんです。
長く咳をしすぎると背中が丸い状態が戻りにくくなり、首こり・肩こりをさらに悪化させてしまいます。
胸鎖乳突筋は、胸骨・鎖骨から耳の後ろ(乳様突起)にかけてつながる、頭部を支える重要な筋肉です。解剖学的に、この筋肉の過緊張は頭痛・めまい・耳鳴りを引き起こすことがあると報告されており、風邪の際に感じる「頭が重い」という症状にも関係しています。
(参考:日本解剖学会監修『解剖学用語』、Travell & Simons『Myofascial Pain and Dysfunction』)
原因③ 自律神経の乱れによる筋肉の過緊張
風邪による体調不良や寒暖差で自律神経のバランスが乱れると、筋肉が常に緊張した状態になります。
さらに、首こり・肩こりがひどい状態が続くと自律神経のバランスがさらに崩れ、免疫力が低下します。
その結果、風邪が治りにくくなるという悪循環に陥ってしまうのです。
自律神経と免疫機能の関係については、日本自律神経学会をはじめ複数の研究機関が関連性を報告しています。交感神経が過剰に優位な状態が続くと、NK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性が低下し、ウイルスへの抵抗力が落ちることが基礎研究で示されています。首こり・肩こりが「風邪を長引かせる」と言われる背景には、こうした神経・免疫系の連動があります。
(参考:日本自律神経学会「自律神経と健康」https://www.autonomic-nerve.jp/)
今すぐできる3つの対処法
対処法① まずは首を温める
風邪で首や肩が痛いときに、まず試していただきたいのが「首を温める」ことです。
首の後ろにホットタオルや温熱シートを当てることで、胸鎖乳突筋の緊張をゆるめ、血行を促進します。
ネックウォーマーをつけたまま寝るのもおすすめです。薄いタオルを首に巻くだけでも大丈夫です。
首を温めることで自律神経も整いやすくなるので、風邪の回復を助ける効果も期待できます。
対処法② 首・肩・胸の簡単ストレッチ3選
体がだるくてもベッドの上でできる簡単なストレッチを3つご紹介します。
首のストレッチ
頭をゆっくり左右に傾け、20秒間キープします。左右2回ずつ行いましょう。
肩のストレッチ
両手を背中で組み、胸を張るようにして20秒間キープします。2回繰り返しましょう。
胸のストレッチ
壁に両手をつけ、体を前に傾けます。胸の筋肉が伸びるのを感じながら20秒間キープします。2回繰り返しましょう。
これらのストレッチは1日2〜3回行うのが理想的です。
※風邪で体がだるいときは無理せず、首を温めるだけでもOKです。痛みを感じる場合は中止してください。
対処法③ 風邪が治っても首・肩の痛みが続く場合
「風邪はもう治ったのに、首や肩の痛みだけが残っている…」という方は少なくありません。
それは、首の前後の筋肉バランスが崩れている可能性があります。
風邪の間に咳や不良姿勢が続いたことで、筋肉のバランスが崩れたまま戻らなくなっているのです。
当院ではこういった場合、首だけでなく背骨と骨盤からアプローチしています。
首の痛みの根本原因は、実は背骨や骨盤のゆがみから来ていることが多いからです。
自宅での対処法で改善しない場合は、お気軽にご相談ください。
風邪による首肩こりを繰り返さないための3つの習慣
風邪のたびに首や肩が痛くなるのを防ぐために、日頃から以下の3つを意識しましょう。
① 服装の工夫
朝晩の冷え込みに対応できるよう重ね着を心がけ、ネックウォーマーで首元を冷やさないようにしましょう。
② こまめな水分補給
水分は体温調節に重要な役割を果たします。寒い時期でもこまめに水分を摂取しましょう。
③ 十分な睡眠
睡眠は免疫力を高める基本です。就寝前はスマホを控え、質の良い睡眠を心がけましょう。
よくある質問(Q&A)
Q1. 風邪をひくと必ず首や肩が痛くなるのですか?
A. 全員ではありませんが、もともと首・肩の筋肉が緊張しやすい方や、姿勢が悪い方は症状が出やすい傾向があります。
免疫反応・咳・自律神経の乱れという3つの要因が重なるほど、痛みは強くなります。
Q2. 風邪が治ったのに首や肩の痛みだけが残るのはなぜですか?
A. 風邪の期間中に咳や不良姿勢が続くことで、首前後の筋肉バランスが崩れたまま戻らなくなるためです。
特に胸鎖乳突筋の過緊張が残りやすく、放置すると慢性的な首こり・肩こりに移行することがあります。
Q3. 自宅でできる対処法で何が一番効果的ですか?
A. まず「首を温める」ことが最も手軽で効果的です。
ホットタオルやネックウォーマーで首後ろを温めると、胸鎖乳突筋の緊張がゆるみ、自律神経も整いやすくなります。
体力に余裕があればストレッチも加えましょう。
Q4. 整骨院に行くタイミングはいつが適切ですか?
A. セルフケア(温め・ストレッチ)を数日続けても改善しない場合、または風邪が完治してから1週間以上痛みが続く場合は、専門家への相談をおすすめします。
首の痛みの根本原因が背骨・骨盤のゆがみにあるケースも多いためです。
Q5. 風邪のたびに首・肩が痛くなるのを予防するにはどうすればいいですか?
A. ①首元を冷やさない(ネックウォーマーの活用)、②こまめな水分補給で体温調節を助ける、③質の良い睡眠で免疫力を維持する、の3つを日頃から習慣にすることが有効です。
まとめ
風邪で首や肩が痛くなるのは、免疫反応・咳による筋肉への負担・自律神経の乱れという3つの原因が重なって起こります。
まずは「首を温める」「簡単なストレッチ」で対処しましょう。
ただし、風邪が治っても痛みが続く場合は、筋肉のバランスが崩れている可能性があります。そのままにしておくと慢性的な首こり・肩こりにつながりかねません。
セルフケアで改善しない場合は、遠慮なく当院にご相談ください。背骨と骨盤から根本的にアプローチし、痛みの原因を解消していきます。
《柔道整復師・鍼灸師・あんま・マッサージ・指圧師 藤井敦志 監修》








