コロナ禍の規制もようやく軽減されてきて、マスクも個人の判断にゆだねられるようになった令和 5 年3 月。
大きな会場での発声もできるまでになってきましたね。
これと同時にこの3年間、中止や縮小されてきたマラソン大会も徐々に普段通りに開催されるようになってきました。
私、院長も先日4年ぶりのフルマラソンである、東京マラソンに参加し、完走することができました。
さて、今回は久しぶりのフルマラソンを控えた患者さんのお話。
悩みの種になっていた「腰とお尻の痛み」に対する改善例をお伝えします。
これからフルマラソンを控えている方や、運動不足解消のためにジョギングから始めようかとお考えの方にお役に立てる内容となっていますので、ぜひ最後までお付き合いください。
目次
ランニング中に起きた腰痛とお尻の痛み。左側だけにくるのはなぜ?
患者さんは50代男性(以下 A さん)
数年前からジョギングを楽しんでおられ、マラソン大会にも年に一度のペースで参加されています。
しかしコロナ禍により大会への参加が難しくなり、走る回数も徐々に減っていきました。
そんな A さんですが、今年は 3 年ぶりに大阪マラソンへの出走を決めました。
練習ペースを上げていくうちに、お尻の痛みを感じます。それも以前痛めていた右側ではなく、左のお尻の痛みでした。
この痛みはコロナ禍での生活が影響していたことも考えられます。
フルマラソン本番まで治療、メンテナンスを行った結果、A さんは 3 年前に参加した時より早いタイムで完走されました。
一体どうやってお尻の痛みを克服し、タイムが伸ばせるまでになったのでしょうか?
詳しく検証してみたいと思います。
ランニング後の左側だけの腰痛とお尻の痛みはコロナの3年が原因?
A さんのお仕事は座って事務作業をされることが多いです。
コロナ禍に入って外出することも少なくなり、お仕事もテレワークになったりと、以前にも増して動くことが減ってきていました。
A さんに限らず、この 3 年間のコロナ禍で多く見られた症状があります。
それは、姿勢の異常による筋力低下です。
どうしても長時間座っている姿勢が増え、スマホや画面を見る時間が長くなる。
そしてマスクをしたままの生活が長期化し、深い呼吸をすることが少なくなっていた。
これらの理由から、姿勢が固まっていって、本来の関節の動きを取り戻すのに時間がかかる傾向がありました。
A さんは定期的にお体のメンテナンスをしていたので、それほど体の歪みは大きくなっていませんでしたが、練習を重ねるうちに、運動不足で弱っていた筋肉のために少しずつ傾いていたのでした。
結果、いつも痛いと感じていた部分ではない、左のお尻に痛みを感じるようになっていたのです。
診させていただくと、片足立ちの際に左右の差が見られました。
微妙な差でも、20 キロ、30 キロと長距離を走っていれば大きなひずみとなってあらわれます。
そこからどのようにして本番に持っていったのか?
本番直前!ランニング腰痛のためにおこなったのは体を整えることと足元
1 か月前の時点で不安を抱えておられたので、まずは長距離を走っても大丈夫なように歪みをとり、左右のバランスを整えていきました。
まずは A さんに合うストレッチと筋トレをお伝えしました。
さらに踵のブレを防ぐため、市販のインソールをお勧めして、練習してもらうようにお願いしました。
踵のブレとは、足首の動きに左右差があるときに動きを補正しようとしてどちらかにブレが生じることがあります。
普段の歩きではそれほど負担を感じたりしないのですが、長距離になるとそれが原因で走りに影響を与えたり、どこかに痛みを生じたりします。
ランニング用のインソールでは、そういったブレをある程度防ぐ役割があるのでお勧めしています。
しかし、ご自分にあったものでないと逆に痛みを起こす原因にもなりかねませんので、専門家に相談していただく方がいいでしょう。
治療を開始してから徐々に効果があらわれ、歪んだ状態のお体には戻りにくくなりました。
良いバランスを保ったまま長時間のランニングも可能になりました。
本番直前には、30 キロ以降崩れやすくなるバランスのためのテーピングを施して、本番に臨んでいただきました。
A さんの努力の結果、見事素晴らしいタイムで完走!となりました。
ランニング腰痛とお尻の痛みに最適なストレッチとは?
ここからは A さんにお勧めしたストレッチと筋トレをご紹介しましょう。
1、臀筋ストレッチ
①膝を立てて座り、すねを膝の上に乗せます。両手は体の横について支えます。
②この状態でお尻の部分にストレッチ感を感じればOK。
③まだ余裕があれば胸を膝に近づけるように持っていけば、よりお尻の部分に伝わります。
④約15〜30秒おこなったら反対の足も同じように行いましょう。
2、ハムストリングストレッチ
①膝を伸ばして座ります。上半身の力は抜いたまま。
②背筋をまっすぐ伸ばしたまま体を前に倒します。
背中が丸くなったり、膝が曲がったりしないよう気をつけて15〜30秒位おこないましょう。
下半身の筋力アップ
1、ランジ
①片足を前に出して膝を90度くらいまで体を落とします。
②後ろ足の位置まで足を戻して気をつけの姿勢になります。
③反対の足も繰り返し行い、両足10回を目安におこないましょう。
2、90度スクワット
①両足を90度に開きます。後ろに90度の壁がある場合は壁に沿わせるように足を置いても大丈夫。
②そのままお尻を壁に沿わせるように下ろします。
下までおろせなくても大丈夫。毎日10回から。
できるなら20回までがいいでしょう。
足を平行にする方法もありますが、この方法は股関節・膝関節の軸に合わせることができるので効果が高いです。
これらのストレッチと筋トレを少しずつ取り入れることで、左右のバランスを整えながら、中心軸を作る筋肉を鍛えることが可能になりますので、ぜひジョギングを始めた方は取り入れてみてはいかがでしょうか。
もし、ジョギングを始めたばかりでお尻に痛みを感じている。ランニングの時の痛みで困っているという方は、お早めにご相談いただければと思います。
正しくトレーニングをして楽しいランニングが続けられるよう応援しています。
《柔道整復師・鍼灸師・あんま・マッサージ・指圧師 藤井敦志 監修》