【この記事のまとめ】雨が近づくと昔痛めた膝が重い、腰がこわばる、夕方に足がむくむ。そんな方に向けて、実際にご来院された60代女性のケースをもとにお伝えします。天気は「きっかけ」で、土台には体の左右差があることが多いんです。梅雨でも秋雨でも台風前でも、中身は同じ。痛い膝ではなく足首から見た理由と、家でできることを書きました。

目次
雨が近づくと昔痛めた膝がうずく|「天気が読める体」でお困りのあなたへ
こんにちは。たつの市フジイ整骨院院長藤井です。
雨が続く時期になると、「雨が降る前になると膝が重くなる」「昔ねんざした足首がうずく」「腰が固まったように感じる」というご相談がふえます。「天気予報を見る前に、体で雨が分かるんです」とおっしゃる方もいます。
雨のたびに古傷が気になるのは、しんどいですよね。しかも「天気のせい」と言われると、どうしようもない気がしてしまう。
天気の変化で頭痛や関節の痛み、だるさが出ることを「気象病」「天気痛」と呼ぶことがあります。ただ、同じ雨の日でも何ともない人と、毎回きまって膝や腰がつらくなる人がいます。その差はどこから来るのか。そこが、この記事でお伝えしたいことです。
だから私は、「雨だから仕方ないですね」で終わらせないようにしています。天気は変えられません。でも、天気が変わったときに、どこへ負担が集まりやすい体なのかは確かめられるんです。
実際にあったケース|雨が3日続いたあと、右膝から腰まで重くなった60代女性のSさん

当院にご来院された、60代前半の女性・Sさんの話です。スーパーで週4日ほどパートをされていて、立っている時間が長い方です。
9月に入って雨の日がふえてくると、以前痛めた右膝の重さが気になってきたそうです。強い痛みというより、「膝の中に何か詰まっているような感じ」。朝起きたときがいちばん動きにくく、しばらく歩くと少しましになる。そして午後になると足首がむくみ、靴下の跡がくっきり残るようになったそうです。
Sさんは40代のころ、階段を踏み外して右足首を強くねんざされたことがありました。当時はしばらく通院して、痛みがなくなってからは気にしていなかったそうです。その後も右膝がときどき痛むことはあったけれど、「昔のケガだから仕方ない」と思っておられました。
ところがその年の秋は、雨が3日ほど続いたころから、右膝だけでなく腰まで重くなってきたそうです。ソファから立ち上がる最初の一歩で腰が伸びない。階段では右膝に体重を乗せるのが少しこわくて、気がつくと手すりを強くにぎっている。
「天気が悪いと膝は昔から気になっていました。でも今年は腰まで重くなるので、年齢のせいかなと思って」
そうお話しされました。
ここからは、私が実際に体を診てわかったことです。
右足首の動きが、左にくらべて小さい。片足で立ってもらうと、右で体を支えるのを無意識に避けている。そのぶん歩くときは左脚に長く体重が乗り、骨盤が左右にゆれる。股関節にも左右差があって、腰がその差を埋めるように動いていました。
Sさんは「膝が悪いから歩きにくい」と思っておられました。でも私には、昔の足首のねんざから続いてきた体の使い方に、雨続きで動く量がへったことが重なって、いままで補えていたところに余裕がなくなった。そう見えました。
この年代では、似たケースをよく見ます。若いころのケガそのものが続いているというより、ケガのあとに身についた歩き方や体重のかけ方が習慣になって、年齢とともに別の場所へ負担が広がっていくんですね。
雨が続く時期に古傷が痛むのはなぜ?|天気は「きっかけ」、土台は体の左右差

秋雨前線でも、梅雨でも、台風の前でも、体に起きていることは同じです。雨が続く時期に古傷が気になる理由を、ふたつに分けてお話しします。
まず、天気と痛みの関係は、研究でも結論が割れています。
イギリスで約2,600人がスマートフォンで毎日の痛みを記録した研究(Dixon WG ほか, npj Digital Medicine, 2019)では、湿度が高い日・気圧が低い日・風が強い日に、痛みを訴える人の割合が少しふえました。ただし差はわずかです(湿度が10%上がると、痛い日の起こりやすさが約1.14倍。「1.14倍痛い」という意味ではありません)。参加者は長く続く痛みを持つ方に限られ、自分で記録する形式なので、気分の影響も受けます。
一方、オーストラリアで急に腰痛が出た993人を調べた研究(Steffens D ほか, Arthritis Care & Research, 2014)では、気温・湿度・気圧・雨と腰痛の発症に関係は見られませんでした。こちらは急な腰痛が対象で、古傷や膝の話とは条件がちがいます。
つまり、天気で痛みが少し出やすくなる人はいる。でも、天気だけで痛みが決まるわけではない。私が診ていて感じるのも、同じです。
では、なにが土台にあるのか。私の治療経験でお話しします。
雨が続くと、買い物や散歩をひかえて、家で座っている時間がふえます。すると、ふくらはぎがほとんど動きません。ふくらはぎは、足にたまった血液や水分を心臓へもどすポンプの役目をしています。ここがかたくなると、もどりが悪くなる。足だけでなく全身の血のめぐりに関わるので、体のあちこちにかたさが出てきます。夕方の足のむくみは、そのサインです。
そこに、朝晩の冷えが加わります。冷えると、体は無意識に少し力を入れます。腰やひざを少し曲げたような姿勢になって、筋肉がこわばる。寝ているあいだは動かないので、朝いちばんに「関節が固まった感じ」が出やすいんですね。
Sさんの場合、晴れて体調のよい日は、右足首の動きの悪さをほかの場所で補えていました。でも雨が続いて動く量がへり、足がむくみ、朝晩の冷えで体がこわばると、補う力が足りなくなる。それが右膝の重さと腰の張りとして出ていた。そう考えています。
当院で見たところ|痛い右膝ではなく、右足首から整えた理由

Sさんの施術は、右膝からは始めませんでした。足首、膝、股関節、骨盤、背中と順に動きを確かめると、いちばん動いていなかったのは右足首で、それをかばって骨盤が左へ逃げていたからです。
まず右足首と股関節が動きやすい状態をつくり、そのうえで骨盤と腰を整えました。右膝ひとりでがんばらなくても歩ける形にする。それだけです。
施術のあとに立っていただくと、「右足にも体重を乗せやすい感じがします」とSさん。歩いていただくと、最初にあった左右へのゆれが少し小さくなっていました。膝の重さも「さっきより気にならない」と話されました。
もちろん、初回でぜんぶ、とはいきません。大事なのは、施術の前と後で何が変わったかを、ご本人の体で確かめてもらうこと。当院では、それを毎回くりかえします。
家でのことは、こうお伝えしました。「雨の日だから動かない」ではなく、家の中で少し歩く。足首を軽く動かす。痛い膝を強くもまない。おふろで体全体を温めて、無理のない範囲で動かす。むずかしいことは要りません。
その後、数回の施術を続けるうちに、「雨の前になると重たい感じは少し出るけど、前ほど歩きにくくない」「朝の膝のこわばりが気にならない日がふえた」と話されるようになりました。
天気は変えられません。でも、天気が変わったときに、ひとつの場所に負担が集まりにくい体に整えていくことはできます。
こんなときは、お医者さんへ
ひとつだけ、大事なお願いがあります。古傷の痛みを、なんでも「天気のせい」「体のクセのせい」と決めつけないでください。
膝や足首が熱をもっている、はれている。じっとしていてもズキズキする。夜中に痛みで目がさめる。転んだり、ひねったりした直後から痛い。足にしびれや力の入りにくさがある。こうしたときは、まずお医者さんに診てもらってください。
「いつもの雨の日の重さと、なにかちがう」。そう感じたときは、遠慮なさらずに病院へ行ってくださいね。
よくある質問(Q&A)
Q1. 雨の日は、膝や腰を温めたほうがいいですか?
温めるのはおすすめです。ただ、痛いところだけをカイロで温めて、あとは座ったまま、というのはもったいないんです。おふろで体全体を温めて、そのあと家の中を少し歩く。足首を軽く回す。動きとセットにすると、めぐりがもどりやすくなりますよ。
Q2. 昔のねんざが、何十年もたって膝や腰に関係するなんてことがあるのですか?
あります。ねんざそのものが残っているというより、ねんざのあとに身についた「その足首をかばう歩き方」が習慣になっていることが多いんです。Sさんもそうでした。足首が動かないぶんを、膝や股関節、腰が長年引き受けてきた。それが年齢や季節の変わり目で表に出てきます。
Q3. 湿布や痛み止めで様子を見てもいいですか?
雨が過ぎれば楽になる、というくり返しなら、それで過ごせることも多いです。気にしていただきたいのは、年々つらくなっている、痛む場所がふえてきた、という場合。天気ではなく、体の使い方のほうが背景にあることがあります。
Q4. 整形外科でレントゲンは異常なしと言われました。それでも診てもらう意味はありますか?
骨に問題がないと分かっているのは、大事なことです。そのうえで、当院が見るのは「動き」のほうです。足首がどれだけ曲がるか、片足で立てるか、歩くときに左右どちらに長く乗っているか。レントゲンには写らない部分に、雨のたびに痛む理由がかくれていることがあります。
Q5. 雨が近づく前に、先にできることはありますか?
天気予報で雨が続きそうなら、その前の日から、家の中で足首を動かす回数をふやしてみてください。かかとの上げ下げを10回、足首をゆっくり回す。それだけでふくらはぎのポンプが動きます。雨が来てから対処するより、来る前にめぐりを保っておくほうが、出方が軽くすむことが多いですよ。
まとめ|「天気のせいだから仕方ない」と我慢し続けないために

雨が近づくと古傷や関節が痛む、足がむくむ、朝に膝や腰がこわばる。そういう方は少なくありません。ただ、それをすべて「気圧のせい」と考えてしまうと、体の中にある本当の負担を見逃してしまうことがあります。
天気の変化は、症状が出るきっかけです。その土台には、過去のケガ、歩き方のクセ、股関節や足首のかたさ、長時間おなじ姿勢で過ごす生活がかくれていることがあります。Sさんの場合も、右膝だけの問題ではなく、昔の右足首のねんざから続いていた歩き方の左右差が関係していました。
50代・60代では、いままで体がうまく補ってくれていた小さな左右差が、季節の変わり目や疲れが重なったときに、症状として表に出てくることがあります。「まだ我慢できるから」「雨が終われば楽になるから」と放っておかず、一度、体全体を見なおしてみてください。
雨のたびに古傷とつきあうのは、気持ちの面でもこたえますよね。天気は選べませんが、天気が変わっても動きやすい体を目指すことはできます。体から出ている小さなサインを、見逃さないようにしましょう。
🖊️ この記事を書いた人
氏名:藤井 敦志(ふじい あつし)

資格:柔道整復師・鍼灸師・あんまマッサージ指圧師
兵庫県たつの市でフジイ整骨院を開業して20年以上になります。骨・筋肉・関節の専門家である柔道整復師と、鍼灸師の国家資格を持ち、体の痛みや不調を幅広く診ています。自費専門・完全予約制のため、お一人おひとりの状態をじっくり確認しながら治療を行っています。
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