(背中の丸まりが呼吸を奪う?酸素不足・息切れ・疲れやすさを招く姿勢の落とし穴と改善のポイント)

はじめに

 

 

70代になると、多くの方が「若い頃のように動けない」「ちょっとしたことで息が上がる」といった体の変化を実感します。

 

特に「最近、歩くスピードが落ちた」「坂道や階段で休憩が必要になった」というお声は、当院でもよく耳にします。

多くの場合、その原因は加齢や筋力の衰えと考えられがちです。

 

しかし、実際にお体を拝見すると、筋力よりも「背中の丸まり」が深く関係しているケースが少なくありません。

 

背中が丸まると、胸郭(肋骨や胸骨、背骨で囲まれた呼吸のスペース)の動きが制限され、肺が十分に膨らみにくくなります。

 

本来なら深く吸い込める空気が、姿勢の影響で半分程度しか入らないこともあります。

 

さらに、背中が曲がった状態では横隔膜(おうかくまく:呼吸の主役となる筋肉)の上下運動も制限され、呼吸そのものが浅くなります。

酸素の取り込みが減れば、筋肉は本来の力を発揮できません。脳への酸素供給も減り、集中力や判断力が低下します。

 

つまり、背中の姿勢は単なる見た目の問題ではなく、呼吸の深さや日常の元気さを左右する重要なポイントなのです。

 

 

 

背中が丸くなると酸素が足りなくなる?肺と横隔膜の動きを制限する姿勢の影響

 

背中の丸まりで最も大きな影響を受けるのが、呼吸の要である横隔膜です。横隔膜は吸うときに下がり、肺を下方向に広げて空気を取り込みます。

 

しかし背中が丸くなると、肋骨同士の動きが硬くなり、横隔膜の下降が妨げられます。

 

その結果、肺は上下にも横にも広がりにくくなり、深い呼吸ができません。

さらに、背中や胸まわりの筋肉が硬くなることで、肋間筋(肋骨の間にある呼吸補助筋)の動きも悪くなります。

 

肋間筋が動かないと、呼吸のたびに胸郭を広げる動作が制限され、ますます呼吸が浅くなります。

 

この状態では、体は常に“酸素不足”に近い状態にあり、ちょっと動いただけでも心臓がドキドキして息切れしやすくなります。

 

酸素不足は筋肉の疲労回復を遅らせ、疲労物質が体内にたまりやすくなります。

 

結果として「動くとすぐ疲れる」「休んでも疲れが取れにくい」という悪循環が生まれるのです。

 

 

息切れ・疲れやすさだけじゃない!背中の丸まりが引き起こす全身への悪影響

 

背中の丸まりが引き起こす影響は呼吸だけにとどまりません。酸素が不足すると、脳の働きも低下し、集中力や記憶力が下がります。

 

ちょっとした判断にも時間がかかったり、物忘れが増えたりといった変化も酸素不足が関係していることがあります。

 

また、血流の悪化によって手足が冷えやすくなり、体温調節も難しくなります。

 

免疫機能も下がるため、風邪を引きやすくなったり、回復に時間がかかる傾向も見られます。

さらに、姿勢の崩れによって腰や首にかかる負担が増大します。長年の猫背は腰痛や肩こりを慢性化させ、日常生活の動作に支障をきたします。

 

高齢期には骨粗しょう症による背骨の変形が進みやすく、猫背が悪化するスピードも加速します。

 

その結果、「背中が曲がって動かない → 筋力低下 → さらに背中が曲がる」という負の連鎖が起こってしまうのです。

 

 

 

背中の丸まりを防ぐために今日からできる簡単な習慣とストレッチ

 

背中の丸まりを予防・改善するためには、特別な器具や長時間の運動は必要ありません。

 

まずは、日常生活の中で「胸を開く意識」を持つことが大切です。

 

椅子に座るときは背もたれに深く腰をかけ、腰を軽く立てて背筋を伸ばします。

この姿勢は胸の位置を高く保ち、肺が広がるスペースを確保します。

 

スマートフォンや本を読むときは顎を軽く引き、首の後ろを伸ばす意識を持つと、背中の丸まりを防げます。

 

テレビを見るときも、背もたれに沈み込むのではなく、肩を後ろに引いて胸を開きましょう。この姿勢を習慣にするだけで呼吸がしやすくなります。

 

ストレッチでは、両手を腰の後ろで軽く組み、肩甲骨を背骨に寄せて胸を大きく開く動作がおすすめです。

鼻から息を吸って胸の広がりを感じ、口からゆっくり吐きながら肩の力を抜きます。これを1日数回行うだけで胸郭が柔らかく保たれ、呼吸が深くなります。

 

加えて、仰向けで行う腹式呼吸も効果的です。お腹に手を置き、鼻から吸ってお腹を膨らませ、口から細く長く吐きながらお腹をへこませます。

吸う時間より吐く時間を長くすると、副交感神経が働きリラックス効果も得られます。

 

 

 

まとめ

 

息切れや疲れやすさは年齢のせいだけではありません。背中の丸まりによる呼吸制限が、酸素不足を招き、体全体のパフォーマンスを下げていることがあります。

 

日常生活での姿勢の意識、胸を開くストレッチ、腹式呼吸といったシンプルな習慣を取り入れることで、呼吸の質は向上します。

それは単に息切れを防ぐだけでなく、日々の生活をより快適にし、元気に過ごすための基礎になります。

 

フジイ整骨院では姿勢と呼吸の関係を重視し、一人ひとりに合わせた改善法をご提案しています。

 

「最近すぐに息切れする」「以前より疲れやすい」と感じる方は、ぜひ一度お体をチェックしてみてください。

 

 

 

《柔道整復師・鍼灸師・あんま・マッサージ・指圧師 藤井敦志 監修》

 

 

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