目次
はじめに
ヘルニアの治療を受けて一度落ち着いたのに、冬になるとまた腰やお尻、脚に違和感が出てくる。
そんな相談は毎年のように増えます。多くの方が最初に思うのは、「またヘルニアが悪化したのかもしれない」「神経がもっと傷んだのかもしれない」という不安です。
確かに、ヘルニアは再び症状が強くなることもあります。ただ、冬に出る不調のすべてが「ヘルニアが大きくなったから」とは限りません。
むしろ、冬特有の生活の中で、神経が敏感になりやすい環境が整ってしまい、以前は気にならなかった刺激まで「痛み」「しびれ」として感じやすくなっているケースが多くあります。
ここを理解できると、必要以上に怖がらずに、やるべき対策が見えてきます。
冬に症状が出やすい理由|ヘルニアより「神経の敏感さ」が問題になる
ヘルニアは、背骨の間のクッションの役割をする部分が飛び出し、近くを通る神経に触れたり圧がかかったりして症状が出る状態です。
ただし、ここで大切なのは「神経の症状は、押されている強さだけで決まらない」という点です。
現場でよくあるのが、画像では大きな変化がないのに症状だけが強くなったり、逆に画像上は変化があっても本人はほとんど気にならなかったりするケースです。
この違いを作る大きな要素の一つが、神経の敏感さです。
神経はとても繊細で、疲労、冷え、姿勢の偏り、睡眠不足、ストレスなど、周りの条件が悪くなると刺激に反応しやすくなります。
冬はまさにこの条件が重なりやすい季節です。
寒さで体が縮こまり、血の巡りが落ち、筋肉が硬くなる。外に出るのが億劫になり、座る時間が増え、同じ姿勢が続く。
こうした積み重ねの結果として、神経が「ちょっとした刺激でも反応する状態」になっていきます。
つまり冬のぶり返しは、ヘルニアそのものよりも、神経が過敏になっていることが問題の中心になっていることがあるのです。
神経が過敏になる環境とは|冬の冷え・姿勢・動かなさの三重苦
では「神経が過敏になる環境」とは具体的にどんな状態でしょうか。
難しい言葉を使わずに言うと、神経の通り道のまわりが硬くなり、血の巡りが落ち、刺激を受けやすくなっている状態です。
冬にそれが起こりやすい理由は、大きく3つあります。1つ目は冷えです。寒いと体は熱を逃がさないように縮こまります。
腰・お尻・太もも周りが冷えると、筋肉は固くなりやすく、神経の周辺もピリピリしやすくなります。
外だけでなく、家の中の冷えも要注意です。
床が冷たい、脱衣所が寒い、寝るときに腰が冷える、こうした環境は「神経が敏感になりやすい条件」を毎日作ります。
2つ目は姿勢の偏りです。冬は防寒で体が丸まりやすく、背中を丸めて座る時間が増えます。
こたつ、ソファ、車の運転、デスクワークなどで腰が丸まった姿勢が続くと、腰から脚にかけて伸びる神経の通り道に負担がかかりやすくなります。
3つ目は動かなさです。寒い時期は歩く量が減り、筋肉がポンプのように働く機会が減ります。
すると、腰やお尻周りの柔らかさが失われ、神経が通るスペースも狭くなりがちです。
この3つが重なると、神経は「過敏な状態」に近づきます。
結果として、少し長く座っただけ、少し歩いただけ、少し前にかがんだだけでも、以前の症状が戻ったように感じやすくなります。
冬にぶり返しやすい人の共通点|生活パターンと体のクセをチェック
冬にヘルニアの症状がぶり返しやすい方には、いくつか共通点があります。
まず、座る時間が長い人です。仕事で座りっぱなし、車移動が多い、家でもこたつやソファで長時間過ごす。
このパターンは、腰とお尻周りが固まりやすく、神経が敏感になりやすい条件が揃います。
次に、冷えを我慢しがちな人です。
「暖房は節約」「お風呂はシャワーで済ませがち」「腰やお尻が冷えても気にしない」こうした習慣があると、神経は刺激を受け続けます。
さらに、冬に運動量がガクッと落ちる人も要注意です。春〜秋はよく歩くのに、冬はほとんど動かない。
この差が大きいほど、体は硬くなりやすく、神経の敏感さが出やすくなります。
もう一つ現場で多いのが、痛みが出るのが怖くて動かない人です。
動かない方が安全と思ってじっとしていると、実は体はさらに固まり、神経はさらに敏感になりやすくなります。
もちろん無理に動く必要はありませんが、「完全に動かさない」は逆効果になることもある、というのは知っておいて損はありません。
ご自身に当てはまるかどうか、次のような感覚があれば参考になります。
冬に入ってから、腰やお尻が冷たい感じが増えた。座っていて立ち上がるときに脚がピリッとする。
長く歩いた翌日に違和感が残る。朝の動き出しが特につらい。こうした“季節性の変化”がある場合、神経が敏感になっている可能性があります。
まとめ
冬の寒さでヘルニアの症状がぶり返しやすい背景には、「神経が過敏になる環境」があります。
ヘルニアが急に大きくなったというより、冷え、姿勢、動かなさが重なり、神経が刺激に反応しやすい状態になっているケースが多いのです。
だからこそ大切なのは、必要以上に怖がることではなく、環境を整える視点を持つことです。
腰やお尻を冷やさない工夫をする、同じ姿勢を長く続けない、冬でも少しは動く時間を作る。
こうした基本が、冬のぶり返しを減らす土台になります。
もちろん、しびれがどんどん強くなる、力が入りにくい、歩きにくい、排尿や排便に違和感が出るなど、普段と違う強い変化がある場合は早めの受診が大切です。
一方で、「冬に入ったら何となく戻ってきた」「去年も同じような時期に悪くなる」という方は、神経が過敏になる環境を整えることで、症状が落ち着く可能性も十分あります。
毎年冬に悩まされる方ほど、今のうちに一度、ご自身の生活と体の状態を見直してみてください。
《柔道整復師・鍼灸師・あんま・マッサージ・指圧師 藤井敦志 監修》
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