目次
はじめに
スキーやスノーボードを楽しみに雪山へ行ったのに、「途中から頭が痛くなって集中できなかった」「帰る頃には頭痛がひどくなっていた」という相談は、冬になるとよく聞かれます。
多くの方は、「寒さのせい」「気圧が高いから」「寝不足だったから」と原因を一つに決めがちです。
確かにそれらも無関係ではありませんが、実際には体の使い方や状態が大きく影響しているケースが少なくありません。
特に、雪山特有の環境では、普段以上に体が緊張しやすく、その緊張が頭痛につながっていることがあります。
ここを理解しておくと、「毎回同じように頭が痛くなる」原因が見えてきます。
雪山で頭痛が起こりやすい理由|寒さが体に与える影響
雪山は気温が低く、風も強いため、体は常に寒さから身を守ろうとします。
寒さを感じると、人は無意識に体を縮こめ、肩や首をすくめる姿勢になります。
この状態が長く続くと、首や肩まわりの筋肉は緊張し、血の巡りが悪くなります。
頭は、首を通って血や酸素が送られているため、この流れが滞ると、重さや痛みとして感じやすくなります。
また、寒い環境では筋肉が硬くなりやすく、少しの動きでも疲労がたまりやすくなります。
雪山での頭痛は、「寒さそのもの」よりも、「寒さによって体がこわばった状態」が続くことが大きな原因になっているのです。
首の緊張が頭痛につながる仕組み|視線固定と力みの積み重ね
スキーやスノーボードでは、前方を常に確認しながら滑ります。転ばないように、周囲を警戒しながら滑るため、視線は前に固定されがちです。
このとき、首は動きが少なくなり、同じ角度で力が入り続けます。
特に初心者や久しぶりに雪山へ行く方ほど、恐怖心から首や肩に力が入りやすくなります。
首まわりの筋肉は、頭を支える役割を担っているため、緊張が続くと疲労がたまりやすくなります。
この疲労が蓄積すると、頭の後ろやこめかみ、目の奥にかけて痛みや重さとして現れます。
滑っている最中は気づきにくくても、休憩中やゴーグルを外したときに、急に頭痛を感じるのは、この首の緊張が原因になっているケースが多いのです。
呼吸が浅くなるとなぜ頭が重くなるのか
雪山では、寒さや緊張によって呼吸が浅くなりやすくなります。
特に、防寒着やゴーグル、ネックウォーマーなどで首元が覆われていると、胸やお腹を大きく使った呼吸がしにくくなります。
呼吸が浅くなると、体に取り込める酸素の量が減り、体は酸素不足の状態に近づきます。酸素は、脳を含めた全身の働きに欠かせないものです。
その供給が十分でなくなると、頭がぼんやりしたり、重く感じたり、痛みとして出ることがあります。
また、呼吸が浅い状態では、首や肩の筋肉が常に緊張しやすくなり、先ほど述べた首の負担をさらに強めてしまいます。
寒さ、緊張、浅い呼吸が重なることで、頭痛が起こりやすい条件がそろってしまうのです。
雪山で頭痛を防ぐためのシンプルな対策|無理なくできる予防の工夫
雪山で頭痛が起こる仕組みは理解できても、「理屈は分かるけれど、やっぱり楽しく滑りたい」というのが本音だと思います。
せっかく雪山に来たのに、頭痛を気にしながら過ごすのはできれば避けたいものです。
実際、当院でも「気をつけたいけど、現場ではなかなか難しい」という声をよく耳にします。
そこでここでは、特別な準備を必要とせず、その場で実践しやすいシンプルな対策を紹介します。
まず意識してほしいのが「首元の冷え対策」です。
首は寒さの影響を非常に受けやすい場所で、ここが冷えると首や肩の緊張が一気に強まります。
緊張した状態が続けば、頭痛の引き金にもなりやすくなります。
ネックウォーマーやハイネックのインナーなどで首元を保温することは基本ですが、もう一つおすすめなのがカイロの活用です。
貼る場所のポイントは、首そのものではなく「両肩甲骨の間あたり」です。
このあたりは体温を保ちやすい場所で、ここを温めることで首や肩の冷えを間接的に防ぎやすくなります。
首元を直接圧迫しないため、動きの邪魔にもなりにくく、違和感も出にくい方法です。寒さで体がこわばりやすい方には特に相性の良い対策です。
もう一つ、雪山ならではの対策として取り入れやすいのが「リフトに乗っている時間の活用」です。
リフトは移動時間であると同時に、体の緊張をリセットできる貴重な時間でもあります。
滑走中はどうしても首や肩に力が入り続けますが、リフトに座ったタイミングで少し意識を変えるだけで、緊張の蓄積を防ぎやすくなります。
例えば、軽く首の後ろを温めるように手を当てたり、手のひらにあるツボをゆっくり押したりするだけでも効果が期待できます。
強く押す必要はありません。「気持ちいい」と感じる程度の刺激で十分です。特に親指と人差し指の間や、首の付け根あたりは緊張が溜まりやすい場所なので、リフト中に軽く刺激するだけでも首肩のこわばりが緩みやすくなります。
呼吸をゆっくり整えながら行うと、さらにリラックスしやすくなります。
雪山での頭痛は、完全にゼロにすることは難しくても、冷えと緊張を少しコントロールするだけで大きく変わることがあります。
難しいことをする必要はありません。首元を冷やさない工夫と、リフト時間のちょっとした意識。この2つだけでも、頭痛の予防につながるケースは少なくありません。
無理のない範囲で取り入れてみてください。
まとめ
雪山で頭痛が出やすい人には、寒さによる体のこわばり、首の緊張、呼吸の浅さという共通した特徴があります。
これは体力不足や年齢の問題だけではなく、雪山という環境で体が無意識に力んでいるサインでもあります。
頭痛が出るのは、体が「少し休ませてほしい」「緊張が強すぎる」と教えてくれている状態とも言えます。
毎回雪山で同じような頭痛を感じる方は、単に我慢するのではなく、体の使い方や状態を見直すことが大切です。
もし頭痛が強く長引く、吐き気を伴う、日常生活でも続くような場合は、別の原因が関係している可能性もあります。
その場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
雪山を安全に、そして最後まで楽しむためにも、体からのサインを見逃さないようにしましょう。
《柔道整復師・鍼灸師・あんま・マッサージ・指圧師 藤井敦志 監修》
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