(紅葉狩りで「下りだけひざが痛い」…登りは平気なのに、なぜ?下り坂でひざに集まる負担と、これからも山を楽しむための準備|たつの市 フジイ整骨院)

【この記事のまとめ】登りは平気だったのに、下りになったとたんひざが痛い。それは「ひざが弱った」からとはかぎりません。下り坂では、ひざのお皿の奥にかかる力が平地の3〜4倍になるという研究もあります。股関節や足首の動きが小さいと、そのぶんをひざが引き受けてしまうんです。58歳女性のモデルケースをもとに、理由と、これからも山を楽しむための準備をお伝えします。

 

紅葉の山道を、ひざを気にしながら下りる女性
登りは平気だったのに、下りになったとたんに

紅葉狩りや秋の登山で「下りだけひざが痛い」|そのつらさ、よくわかります

 

こんにちは。たつの市フジイ整骨院院長藤井です。

 

秋になると、紅葉を見に山へ出かける方がふえます。気候もいいので、久しぶりにハイキングや登山を楽しむ方も多いですよね。

 

そのときによく聞くのが、「登るときは何ともなかったのに、下りになったとたんにひざが痛くなった」というご相談です。

 

とくに50代・60代の方では、ふだんの平地では問題ないのに、長い下り坂になるとひざの前や内側が痛くなることがあります。

 

せっかくの紅葉なのに、下りのことが頭から離れない。友だちに気をつかわせてしまう。「もう山はやめておこうかな」と思ってしまう。それは、さみしいことですよね。

 

多くの方は「ひざが弱くなったのかな」「年齢だから仕方ない」と考えます。でも、ひざだけの問題とはかぎらないんです。

 

登山では、足首・ひざ・股関節がつながって動きます。どこかひとつの動きが小さくなると、べつの関節がそのぶんを補わなければなりません。とくに下り坂では、体が前へ落ちないようにブレーキをかけながら歩くので、平地よりひざへの負担がふえやすいんですね。

 

58歳女性Mさんのケース|登りは平気だったのに、下山のとちゅうから右ひざが痛くなった

 

紅葉の山道をストックを持って登る女性
登りは「思ったよりまだ歩けるな」と感じていたそうです

 

今回ご紹介するのは、秋の登山後にひざの痛みが出た方をもとにした、58歳女性Mさんのモデルケースです。

 

Mさんは事務のお仕事で、ふだんは座っている時間が長い方です。運動といえば、近所を30分ほど歩く程度。若いころはよく旅行やハイキングに出かけていたものの、ここ数年は長い距離を歩く機会がへっていたそうです。

 

ある休日、友人にさそわれて紅葉を見に低い山へ。久しぶりの登山でしたが、登りはとくに問題なく、「思ったよりまだ歩けるな」と感じていたそうです。

 

ところが、下山を始めて30分ほどすると、右ひざの前側から内側にかけて重たい痛みが出てきたそうです。

 

はじめはがまんできる程度。でも階段のような急な下りが続くと、一歩ごとに痛みが強くなる。最後は左脚を先に出して、右ひざをかばうように歩いていたとのことでした。

 

帰宅後はひざが少しはれぼったく、翌朝には立ち上がるときにも違和感が残っていたそうです。「登りは大丈夫だったのに、どうして下りだけこんなに痛くなるんでしょう」。そんな不安をかかえて、ご来院されました。

 

痛いのはひざ。でも、動いていなかったのは股関節と足首でした

 

下山中に木につかまり、右ひざを押さえる女性
下りが続くと、一歩ごとに痛みが強くなっていったそうです

 

体を確かめると、右ひざそのものだけではなく、右の股関節が左よりかなり動きにくくなっていました。

 

さらに足首もかたく、しゃがむ動作では右のかかとが少し浮きやすい。Mさんご自身はそこまで左右差を感じていませんでしたが、歩いていただくと、右脚へ体重を乗せたときに骨盤が少し外へにげるような動きがありました。

 

つまり下り坂で右脚に体重を乗せたとき、股関節と足首で受けとめきれないぶんを、ひざが多く引き受けていた。そう考えました。

 

なぜ下り坂でひざが痛くなりやすいのか|研究でわかっていること

 

下り坂を歩く脚の図。股関節と膝に負担が集まっているようす
股関節と足首で受けとめきれないぶんが、ひざに集まります

 

下り坂では、前へすすむだけでなく「体が前へ落ちすぎないようにおさえる」動きが必要になります。そのとき太ももの前側の筋肉がブレーキのように働くんですね。この筋肉が疲れてくると、ひざにかかる負担がふえやすくなります。

 

これは感覚の話ではなく、数字でも示されています。

 

【研究データ】海外の研究では、下り坂を歩くとき、ひざのお皿の奥の関節にかかる力は平地の3〜4倍になると報告されています。また傾斜約11度の下りでは、ひざを曲げる方向にかかる力が平地の2倍以上(+117%)になったというデータもあります。
出典:Kuster M, et al. Z Orthop Ihre Grenzgeb. 1994 / Kuster M, et al. Clinical Biomechanics. 1995

 

登りより下りのほうがひざにこたえる。多くの方が体で感じていることが、研究でも裏づけられているわけです。

 

ただし、それだけではありません。

 

股関節がかたい方は、脚を十分に後ろへ引いたり体を安定させたりしにくいので、そのぶんひざを深く曲げて衝撃を受けとめるようになります。足首がかたい場合も同じで、地面の傾きに合わせて足首が動けないぶんを、ひざが補います。

 

さらに、これまでの歩き方のクセも影響します。たとえば右脚へ体重を乗せるのが苦手な方は、無意識に左脚へにげるように歩きます。ふだんの平地では気にならなくても、下り坂のように一歩ごとにしっかり体重を受けとめる場面になると、その左右差がはっきり出てくるんです。

 

50代・60代では、以前より歩く距離がへっていたり、仕事で長く座っていたりして、股関節や足首の動きが小さくなっている方が少なくありません。「昔は同じ山を歩けた」という感覚のまま長い下りを歩くと、思っていた以上にひざへ負担がかかることがあるんですね。

 

当院での見立てと施術|ひざだけを診ずに、足首・股関節まで確かめる理由

 

仰向けの女性の股関節と膝の動きを確かめる院長
ひざより先に、股関節と足首の動きから確かめていきます

 

Mさんの場合、ひざが痛いからといって、ひざだけを強くもんだり、むりに曲げ伸ばししたりはしませんでした。

 

まず足首、股関節、骨盤、背中の動きを確かめて、どこで動きが止まり、そのぶんをひざが補っているのかを見ていきました。痛い場所と、そこへ負担を集めている場所がちがうことは、めずらしくないからです。

 

Mさんには、まず右の足首と股関節が動きやすい状態をつくり、右ひざだけで体重を受けとめなくてもよい状態を目指しました。

 

そのあと立ち上がりや片脚立ち、歩き方を確かめると、「右脚に体重を乗せても、前よりこわくない」と話されました。施術のあとにひざだけでなく歩き方まで確かめるのは、体の使い方そのものが変わったかを見るためです。

 

私の治療経験でお話しすると、同じ「下り坂でひざが痛い」でも、体の状態はひとりずつちがいます。股関節のかたさが大きく関係している方もいれば、足首の動きや昔の捻挫が関係している方もいる。だから、その方の動き方を確かめながら施術の中身を決めるようにしています。

 

こんなときは、お医者さんへ

 

ひとつだけ、大事なお願いがあります。

 

ひざがはっきりはれて熱を持っている。ひざがガクッとくずれる、引っかかって伸びない。転んだりひねったりしたあとから痛い。じっとしていてもズキズキする。こうしたときは、まず整形外科で診てもらってください。

 

「いつもの疲れと、なにかちがう」。そう感じたときは、遠慮なさらずに病院へ行ってくださいね。

 

よくある質問(Q&A)

 

Q1. 登りは平気なのに、なぜ下りだけ痛くなるのですか?

下りでは「前へ落ちないようにブレーキをかける」動きが加わるからです。研究でも、下り坂ではひざのお皿の奥にかかる力が平地の3〜4倍になると報告されています。登りで疲れた太ももが、下りでブレーキ役をしきれなくなると、ひざへ負担が集まりやすくなるんですね。

 

Q2. ストックは使ったほうがいいですか?

下りでは、あると楽になる方が多いです。腕にも体重を分けられるので、ひざにかかるぶんが減ります。ただ、ストックがあればひざの負担がゼロになるわけではありません。歩幅を小さく、ひざを少しゆるめて着地する。この基本と組み合わせて使ってみてください。

 

Q3. 毎回おなじ側のひざだけ痛くなります。なぜですか?

片側だけくりかえすときは、体の使い方に左右差があることが多いです。どちらかの股関節や足首が動きにくい。あるいは、無意識にどちらかの脚へにげるクセがある。ひざだけを見ていても、そこは見つかりにくいんです。一度、股関節や足首まで確かめてみることをおすすめします。

 

Q4. 久しぶりに登る前に、何かしておくことはありますか?

いきなり長い距離を歩くのではなく、平地のウォーキングや近所の坂道を少し歩いて、いまの体がどれくらい動けるのかを確かめておいてください。ストレッチをがんばるより、そちらのほうが大事です。「昔はこの山を歩けた」という感覚と、いまの体は、少しずれていることがありますから。

 

まとめ|秋の紅葉狩りや登山を、これからも楽しむために

 

秋は紅葉もきれいで、暑さも落ちついて、外を歩くには気持ちのいい季節です。だからこそ「ひざが痛くなるのがこわいから、もう山には行かない」とあきらめる必要はありません。

 

とくに意識したいのが下り坂です。歩幅を大きくしすぎず、少し小さめの歩幅でゆっくり下りる。ひざを伸ばしきった状態で着地するより、少しひざをゆるめて地面を受ける。それだけでも、ひざへの負担は変わります。必要ならストックを使って、腕にも体重を分けてください。

 

それでも毎回おなじ側のひざが痛くなる、下り坂だけつらい、ひざだけでなく股関節や腰まで痛くなる。そういう場合は、ひざだけを見ていても原因がわからないことがあります。股関節や足首が十分に動いているか、歩くときに左右どちらかへ体重がかたよっていないか。そこまで確かめてみることをおすすめします。

 

「昔は平気だったのに」と落ちこむ必要はありません。いまの体に合わせて少し準備をして、動きにくいところを整えておけば、秋の紅葉狩りや登山はこれからも楽しめます。

 

山を下りた翌日に「やっぱり行ってよかった」と思えるように。ひざだけでなく、体全体を準備して出かけてくださいね。

 

🖊️ この記事を書いた人

氏名:藤井 敦志(ふじい あつし)

資格:柔道整復師・鍼灸師・あんまマッサージ指圧師

兵庫県たつの市でフジイ整骨院を開業して20年以上になります。骨・筋肉・関節の専門家である柔道整復師と、鍼灸師の国家資格を持ち、体の痛みや不調を幅広く診ています。自費専門・完全予約制のため、お一人おひとりの状態をじっくり確認しながら治療を行っています。

 

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