【この記事のまとめ】秋の農作業のあと、腰や足の付け根が痛い。湿布をはっても、なんとなく違和感が残る。実際にご来院された60代男性のケースをもとに、なぜ痛くなるのか、そして今日から家でできることをお伝えします。むずかしい体操は出てきません。

農作業のあと、腰や足の付け根が痛い|そのつらさ、よくわかります
こんにちは。たつの市フジイ整骨院院長藤井です。
秋は、田んぼや畑の仕事がいそがしくなる季節です。
作業をしているあいだは夢中で、そこまで気になりません。ところが、家に帰って腰を伸ばそうとすると伸びない。次の朝、起き上がるのがつらい。足の付け根がズキッとする。
湿布をはって、その日はやり過ごす。数日たてば少し楽になる。でも、また作業をするとぶり返す。
そのうち「歳だから仕方ないか」と思うようになる。
やらないわけにはいかない仕事ですものね。休んでいる場合ではない時期に痛みが出るのは、本当にこたえると思います。

実際にあったケース|農作業のあと、足の付け根が痛くなった60代の男性

当院にご来院された、60代の男性の話です。
平日は事務のお仕事で、座っている時間が長い方です。そのかたわら、休みの日には農作業をされています。走ることも趣味で、春には大きな大会も走っておられました。
痛みが出たのは、農作業の翌日だったそうです。
その日は、片方の足に体重をかけたまま、1〜2時間立ちっぱなしで作業をされていたとのことでした。翌日から、左の股関節の付け根が痛くなってきたそうです。
とくにつらかったのが、座っているときだったそうです。デスクワークの最中にジワジワ痛む。歩いて着地したときに、付け根が「はまる」ような感じがする。
整形外科では、レントゲンで骨に問題はないと言われたそうです。「太ももの裏の筋肉かもしれませんね」と説明を受け、湿布が出た。少しはましになったけれど、違和感は残ったままだったとのことでした。
いちばん困っておられたのは、走るのがこわくなったことでした。
秋の大会に申し込んだばかり。でも走ると痛い。休めば筋力が落ちるのではないかと不安になる。走りたいのに、走るのがこわい。その板ばさみのなかでご来院されました。
痛いのは左。でも、力が弱っていたのは右でした
ここからは、私が実際に体を診てわかったことです。
立っていただくと、背骨が横にずれて、体が左へかたむいていました。骨盤の高さにも左右の差がありました。
おもしろいのはここからです。力の入りぐあいを調べると、弱くなっていたのは右のほうでした。痛いのは左なのに、です。
右ききの方なのに、ふんばるときはいつも左足。長年のクセです。ご本人も、肩の高さがちがうことは前から気づいておられました。
ふだんは体がうまくつじつまを合わせています。でもそこへ、片足に体重をかけたままの立ち作業が1〜2時間。かたよりが表に出てきた。そう考えました。
ただ、農作業だけが原因ではありません。長く座るお仕事、長年のふんばりグセ、体のゆがみ。いくつかが重なったところに、あの1〜2時間がきた。そういうことだと思います。
「痛みを探さないでください」とお伝えしました

施術のあと、体のかたむきは真ん中に近づき、力も入りやすくなりました。ただ、前かがみになると付け根に痛みが残りました。一回でぜんぶ、とはいきません。
それより大事だったのは、走ることへの向き合い方でした。
1週間は走るのをお休み。自転車は通勤の往復8キロくらいまでなら大丈夫。そのうえで、こうお伝えしました。
「痛みを探さないでください。できたことを積んでいきましょう」
痛みが気になると、つい確かめたくなるんですよね。ちょっと曲げてみる、ひねってみる、押してみる。でもそれをやるほど、痛みの記憶は強くなっていきます。
2回目にご来院されたときには、座っているときの痛みは消えていました。走るとまだ痛みは出る。でも、確実に一段よくなっていました。
「いま休むことが、次のパフォーマンスにつながりますよ」。そうお話ししながら、少しずつ距離をのばしていく段階に進みました。
今日からできること|むずかしい体操は要りません
ここからは、当院で実際にお伝えしていることを書きます。どれも、道具も時間も要りません。
1. 座ったとき、両足を平行にそろえる
これは、いちばん多くの方にお伝えしている宿題です。
座っていると、どちらかの足が自然と外へ開いてきます。足が開くと骨盤が倒れて、腰や股関節に負担がかかるんですね。
やることは、気づいたときに足先とひざの向きをそろえるだけ。足は離したままでかまいません。ずっと続ける必要もなく、1分でも大丈夫です。
新しいクセを、少しずつ入れていく。そんなつもりでやってみてください。
2. 朝の立ち上がりを、ひと工夫する
朝、腰が伸びない。起き上がるのがつらい。そういう方に共通してお伝えしている方法です。
椅子やベッドの端に、浅めに腰かけます。立ち上がるとき、まずひざを一度ピンと伸ばしきる。伸ばしたまま、そこから体を起こす。これを3回。
前かがみのまま「よいしょ」と立つのとは、股関節の乗り方がちがってきます。朝は体が伸びにくいので、これをやっておくと次の動きが楽になりますよ。
痛いときにやるものではありません。体をリセットしたいときに使ってください。
3. 足の指を動かす
長ぐつや作業靴の中で、足の指はほとんど動いていません。
おふろのあとや寝る前に、足の指をグーパーする。足首をゆっくり回す。それくらいで十分です。足首がしっかりしてくると、上のほうの負担も変わってきます。
4. 痛みを探さない
さきほどの男性にもお伝えしたことです。
「まだ痛いかな」と、あちこち動かして確かめにいかないこと。痛いときは「痛いな」と思う程度でいいんです。
5. あれもこれも、やらない
ここまで5つ書いておいて言うのもなんですが、全部やらなくていいです。
当院でお伝えする宿題は、たいてい1つだけです。あれもこれもと増やすと、それ自体がしんどくなってしまいますから。
ふだん通りに過ごしていれば、体はちゃんと良くなろうとしてくれます。ストレッチや筋トレを無理に始めなくても大丈夫。まずは1つ、気が向いたものだけ選んでみてください。
こんなときは、お医者さんへ
ひとつだけ、大事なお願いがあります。
足にしびれが出ている。力が入らない。じっとしていてもズキズキする。夜中に痛みで目がさめる。しりもちや転倒のあとから痛い。熱がある。こうしたときは、まずお医者さんに診てもらってください。
「いつもの腰の痛みと、なにかちがう」。そう感じたときは、遠慮なさらずに病院へ行ってくださいね。
よくある質問(Q&A)
Q1. 痛いときは、休んだほうがいいですか?
強く痛むあいだは、その動作だけをお休みしてください。ただ、一日中じっとしている必要はありません。さきほどの男性にも、走るのはお休みしていただきましたが、自転車は続けていただきました。動ける範囲で動くほうが、体はもどりやすいんです。
Q2. 湿布だけで様子を見てもいいですか?
数日で楽になっていくなら、それで大丈夫なことも多いです。気にしていただきたいのは、毎年おなじ時期に、おなじ場所が痛くなる場合。体の使い方のかたよりが背景にあることがあります。そこが変わらないと、作業のたびにくりかえしてしまうんですね。
Q3. 「歳のせい」と言われたのですが、どうしようもないのでしょうか?
年齢で変化する部分は、たしかにあります。ただ、同じ年齢でも痛む方と痛まない方がいらっしゃいます。その差は、体の使い方のかたよりから生まれることが多いんです。年齢は変えられませんが、かたよりのほうは変えていけます。
Q4. ストレッチや筋トレは、したほうがいいですか?
いま無理に始めなくても大丈夫です。体がかたよったまま鍛えても、効果が出にくいことがあるからです。まずは足を平行にする、朝の立ち上がりを工夫する。そのあたりから始めて、体が整ってきてからでも遅くありません。
まとめ
農作業のあとの腰や足の付け根の痛み。その背景には、体の使い方のかたよりがかくれていることがあります。
ご紹介した男性も、痛いのは左でしたが、力が弱っていたのは右でした。長年のふんばりグセに、片足荷重の立ち作業が重なったところで、表に出てきたんですね。
まずは、座ったときに足を平行にすることから。それだけでも変わってきます。
秋の作業は、まだしばらく続きます。痛みをかかえたまま続けるのは、体にも気持ちにもこたえますよね。だましだましやり過ごすしかないと思っておられるなら、一度、体の使い方のほうを見てみるのも手ですよ。
🖊️ この記事を書いた人
氏名:藤井 敦志(ふじい あつし)

資格:柔道整復師・鍼灸師・あんまマッサージ指圧師
兵庫県たつの市でフジイ整骨院を開業して20年以上になります。骨・筋肉・関節の専門家である柔道整復師と、鍼灸師の国家資格を持ち、体の痛みや不調を幅広く診ています。自費専門・完全予約制のため、お一人おひとりの状態をじっくり確認しながら治療を行っています。
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