目次
はじめに
【この記事の結論】
膝の痛みが腰や反対の膝にまで広がる原因は、痛い膝をかばううちに体全体のバランスが崩れるためです。
・変形があることと、痛みの原因がそこだけにあることは必ずしも同じではない
・片膝をかばうと反対の膝・腰・足首へと負担が連鎖しやすい
・注射で痛みが和らいだ時期に無理をすると悪化しやすい
・改善には痛い場所だけでなく体全体のバランスを整えることが必要
当院で膝の相談を受けていると、とても多いのが「最初は片方の膝だけだったのに、だんだん反対の膝や腰までしんどくなってきた」という方です。
病院でレントゲンを撮り、「変形性膝関節症ですね」と言われ、ヒアルロン酸の注射や痛み止めの注射を続ける。
確かにそれで少し楽になる時期もあります。しかし、時間が経つとまた痛くなる。
しかも最初は右だけだったのに今度は左も痛い、腰までしんどい、歩き方までおかしくなってきた、という流れになる方が少なくありません。
こういう方は決して珍しくなく、むしろ膝の痛みを長年抱えている方ほどよく見られるパターンです。
膝は体重を支える大事な関節ですが、膝だけで歩いているわけではありません。
股関節、足首、足の裏、骨盤、腰、背中まで含めた全身の連動の中で膝は働いています。
そのため、膝に負担が集まった理由を見ずに、痛い膝だけを追いかけていると、痛みは一時的にやわらいでも、体の使い方そのものは変わらないままになります。
結果として、痛い方をかばい、反対側に負担が移り、さらに腰や足首までしんどくなる、という悪循環に入ってしまうのです。
今回ご紹介するSさんも、まさにその流れの中でつらさが広がっていた方でした。
事例紹介|50代女性Sさん 右膝の激痛から左膝、腰、右足首まで負担が広がった経緯
Sさんは、以前数年前まで当院に来られていた50代後半の女性です。
もともと腰痛、右膝痛、右足首の不調、左膝痛など、下半身にいくつかの悩みを抱えておられました。
ここ3〜4年ほど前から特に膝の痛みが出るようになり、病院では変形性膝関節症、いわゆるOAと診断されていました。
膝が強く痛い時にはヒアルロン酸の注射を受け、痛みが強い時には痛み止めの注射も受けてこられたそうです。
それでもここ最近、特にこの2〜3か月ほどは右膝の痛みがかなり強くなっていました。
和式トイレのように深くしゃがむ動作は痛すぎてできず、膝を曲げること自体への不安も強くなっていました。
ヒアルロン酸の注射を受けたものの痛みは残り、さらに痛み止めを打ってもらう流れになりました。
ところが、来院数日前に遠方までライブに行く予定があったのです。
ずっと楽しみにしていたライブ。膝は痛い、でもどうしても行きたい。
そのお気持ち、すごくよくわかります。
「無理しちゃいけないのはわかってる。でも、これだけを楽しみに過ごしてきたから」
そんな思いで、整形で痛み止めの注射を打ってもらったうえで出かけられたそうです。
注射を受けた直後は「今日は何とかいけそう」という感覚があり、久しぶりに体が動く喜びもあったのでしょう。
気持ちも高ぶっていましたし、せっかく来たのだからと、つい動き回ってしまったのは自然なことだったと思います。
ただ、痛み止めは痛みを感じにくくさせるだけで、膝の状態そのものを治しているわけではありません。膝はずっとフル回転で働いていたのです。
その結果、帰りには膝の裏に激痛が出てしまい、曲げ伸ばしができないほどになってしまいました。
次の日は特に膝が曲げられず、伸ばしたまま歩いていたとのことです。
治療日の時点では少し曲がるようにはなっていたものの、明らかに普通ではない状態でした。
しかも、右膝をかばうようになってから左膝も痛み出し、両膝で支えることが難しくなっていました。
さらに、右膝をかばってガニ股のように歩いていたら腰痛もだんだん強くなり、仕事で座っていてもしんどいようになってきたそうです。
当時は靴を履くのも痛かったそうです。
右膝だけでなく、左膝、腰、右足の甲、右足首と、下半身全体に不調が広がっていたのですから、どうしようもない痛みが続く日々はどれだけつらかったことでしょう。
Sさんご本人にとっては「膝が悪いのは前から分かっていたけれど、ここまであちこちに出るのは初めて」という状態で、かなり不安が強くなっていたのですね。
この年代の女性に多い膝の痛みの特徴|変形性膝関節症だけでは説明しきれないケース
50代後半から60代の女性に多い膝の悩みには、いくつか共通点があります。
まず一つは、病院で「変形があります」と言われることです。
確かに年齢とともに膝の関節には変化が出る方が増えますし、レントゲンでもその変化が見えることがあります。
ただし、ここでとても大切なのは、「変形があること」と「今の痛みの原因がそこだけにあること」は必ずしも同じではない、ということです。
実際、変形があっても痛みが少ない方もいれば、変形はそれほど強くなくても非常につらい方もおられます。
その違いを作る大きな要素が、体の使い方と全身のバランスです。Sさんのように右膝が痛くなると、無意識に右をかばいます。
すると左膝に負担が増え、左右のバランスが崩れます。さらに、膝を曲げるのが怖くなると、歩き方が変わります。
ガニ股のような歩き方になったり、足を外へ逃がすように使ったり、膝を曲げないように腰でごまかして歩くようになります。
そうすると今度は腰がしんどくなります。つまり「膝の痛み」だと思っていても、実際には股関節や骨盤、腰まで巻き込んだ問題になっているのです。
また、この年代の女性は家事や仕事で座ったり立ったり、しゃがんだり、方向転換したりという小さな動作を何度も繰り返しています。
こうした積み重ねは、若い頃は何とか耐えられても、50代以降になると回復が追いつきにくくなります。
そこに注射で一時的に痛みがましになると、「今のうちに動いてしまおう」と無理をしてしまい、結果的に膝の裏や足首、足の甲にまで負担が広がることがあります。
今回Sさんがライブで動き回ったあとに膝の裏へ激痛が出たのも、まさにそうした流れの一つと考えられます。
さらに、右足の甲の腫れのように、レントゲンでは異常がなく、薬も効きにくい症状が出る方もおられます。
こうした場合、炎症や内科的な問題を除外することは大切ですが、それと同時に、足の使い方や荷重の偏り、膝や足首への連動した負担も考える必要があります。
押さえた時だけ痛い、靴が当たるとつらい、腫れが長引く。
このような訴えは、局所だけの問題ではなく、足全体の使われ方が崩れているサインであることも少なくありません。
この年代の方には、「右膝が痛いから右だけ悪い」という単純な見方ではなく、「なぜ右膝にそこまで負担が集まったのか」「その結果どこに無理が移っているのか」を見ていくことがとても大切です。
フジイ整骨院での見立てと施術|痛い膝だけではなく、体全体のつながりから整える
Sさんのようなケースでは、右膝だけに注目していてもなかなか改善しません。
当院で大切にしているのは、痛みのある場所だけでなく、体全体のバランスを見て「なぜそこが痛くなったのか」を探ることです。
膝が痛いから膝だけを揉む、腰がしんどいから腰だけを押す、足の甲が腫れているからそこだけを触る、というやり方では、根本的な負担のかかり方は変わらないままです。
Sさんの場合も、右膝の痛みだけでなく、左膝もかばい痛みが出ており、腰までしんどくなり、右足の甲にも異常が出ていました。
つまり、膝単独ではなく、体全体の連動が崩れていたわけです。
当院ではまず、立った時の左右の重心のかかり方、骨盤の傾き、股関節の動き、足首の柔らかさ、膝の曲げ伸ばしのクセ、しゃがむ動作でどこに負担がかかるのかを丁寧に確認しました。
施術では、まず膝に集まっていた負担を少しでも逃がせるように、骨盤や股関節、足首のバランスを整えました。
必要に応じて微弱電流機器を用いて、過剰に緊張している筋肉や炎症が強い部分を落ち着かせ、自然治癒力が働きやすい状態を作っていきます。
微弱電流は強く刺激するものではなく、体にやさしい形で細胞の働きを助ける方法ですので、痛みが強い時期にも使いやすいのが特徴です。
そのうえで、膝そのものの動きも無理のない範囲で確認しながら、「今できる動き」と「まだ無理をしない方がいい動き」をはっきり分けてお伝えしました。
毎回体の状態を確認し、「次はいつ来ていただくのがベストか」をその都度お伝えしています。
症状の強さも、回復のスピードも、その方の生活環境もすべて違うからです。また、初回の施術後には、必ず施術前後の変化を一緒に確認していただきます。
症状がすべてなくなるわけではなくても、「来る前より立ち上がりが少し楽」「足の着き方が違う」「膝を曲げた時の怖さが少し減った」といった変化があるかどうかは大切です。
きちんとした技術があれば、体の変化は1回目から出ます。
Sさんのように長く悩んでいる方ほど、「今までの普通」が実はかなり悪い状態だったと、少し調子が良くなって初めて気づかれることがよくあります。
慢性的な症状の怖さは、つらい状態が普通になってしまうことです。だからこそ、初回からの変化を一緒に確認することはとても意味があります。
Sさんの場合、全身のバランスが整うまでにはある程度の時間が必要でした。
仕事で一日中過ごせるようになるには、それなりの回数を重ねる必要があったことも正直にお伝えしておきます。
それでも、5回目あたりから「今日は膝のことを忘れていた」という日が少しずつ出てくるようになりました。
あれだけ下半身全体に広がっていた痛みが、少しずつ遠くなっていく。
その変化をSさん自身が実感されていたのが、施術していてとても印象的でした。
今ではメンテナンスで来院されるだけで、日常生活の中で大きな痛みを感じることはなくなっています。
「もうあの頃には戻りたくない」とおっしゃっていたSさんの言葉が、今でも心に残っています。
まとめ
Sさんのケースは、変形性膝関節症と診断され、ヒアルロン酸や痛み止めの注射を続けながらも、右膝の痛みが強くなり、
それをかばううちに左膝、腰、右足の甲まで不調が広がっていった典型的な例でした。
この年代の女性には、膝だけでなく股関節や足首、腰まで巻き込んだ複雑な不調がとても多く見られます。
それを「年齢のせい」「変形しているから仕方ない」で終わらせてしまうと、体の使い方のクセや負担の偏りは残ったままになります。
すると、注射で一時的に楽になっても、また同じことを繰り返しやすくなります。
大切なのは、今痛い場所だけではなく、「なぜそこに負担が集まったのか」「どこを整えればまた歩きやすくなるのか」を体全体から見ていくことです。
どこに行ってもその場しのぎで終わる、注射を打っても不安が消えない、膝だけでなく腰や足首までしんどい。
そう感じている方にこそ、痛い場所だけでなく体全体を見てくれる治療院を選んでいただきたいと思います。
痛みはつらいですが、体は必ず何か理由があってその場所にサインを出しています。
そのサインをきちんと読み取り、体のつながりから整えていくことで、今より動きやすい体を取り戻せる可能性は十分にありますよ。
よくある質問(Q&A)
Q1. ヒアルロン酸や痛み止めの注射を続けているのに膝が良くならないのはなぜですか?
A. ヒアルロン酸や痛み止めは膝の炎症や痛みを一時的に和らげる効果がありますが、体の使い方や荷重の偏りそのものを変えるものではありません。
注射で楽になった間も膝への負担のかかり方が変わらないままであれば、時間が経つとまた痛みが戻りやすくなります。痛みの原因となっている体全体のバランスを整えることが、根本的な改善への近道です。
Q2. 片方の膝が痛いだけなのに、なぜ反対の膝や腰までしんどくなるのですか?
A. 片膝をかばうと、無意識に反対側の膝や腰で体重を支えようとします。その結果、歩き方や姿勢が変わり、股関節・骨盤・腰にまで負担が移っていきます。膝の痛みを長年抱えている方ほど、こうした連鎖が積み重なって全身に不調が広がりやすくなります。
Q3. 変形性膝関節症と診断されたら、もう良くなりませんか?
A. 変形があることと、今の痛みの原因がそこだけにあることは必ずしも同じではありません。変形があっても痛みが少ない方もいれば、変形が強くなくても非常につらい方もおられます。体の使い方や全身のバランスを整えることで、変形があっても日常生活が楽になるケースは少なくありません。
実際、変形性膝関節症の痛みの強さは必ずしも画像所見の重症度と
一致しないことが複数の研究で報告されています。日本整形外科学会
の「変形性膝関節症 診療ガイドライン」においても、痛みへの対応
として運動療法や体重管理など、体の使い方を変えるアプローチが
保存療法の基本として推奨されています。
(参考:日本整形外科学会「変形性膝関節症 診療ガイドライン2023」
https://www.joa.or.jp/)
Q4. 整骨院ではどのように膝の不調にアプローチするのですか?
A. 痛い膝だけを見るのではなく、立った時の重心のかかり方・骨盤の傾き・股関節の動き・足首の柔らかさ・膝の曲げ伸ばしのクセなど、体全体のバランスを確認します。負担が集まっている原因を特定したうえで、骨盤や股関節・足首を整え、必要に応じて微弱電流機器を用いて炎症を落ち着かせながら自然治癒力が働きやすい状態を作っていきます。
Q5. 何回くらい通えば変化を感じられますか?
A. 体の状態や症状の強さによって異なりますが、きちんとした施術であれば初回から何らかの変化を感じていただけることがほとんどです。Sさんのケースでは5回目あたりから「膝のことを忘れていた」という日が出始め、その後メンテナンスのみで大きな痛みを感じない状態になられました。回復のスピードは個人差がありますが、毎回体の状態を確認しながら次回の来院タイミングをお伝えしています。
《柔道整復師・鍼灸師・あんま・マッサージ・指圧師 藤井敦志 監修》
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