【この記事のまとめ】肩がこると、つい自分で揉んでしまう。けれど翌日には前より硬くなっている。そんな経験はありませんか。強い刺激を受けた筋肉は、皮膚にタコができるのと同じように、身を守ろうとしてかえって硬くなることがあります。この記事では、体の中で何が起きているのかと、揉む代わりに私がおすすめしている「皮膚をさする」やり方をお伝えします。
こんにちは。
たつの市フジイ整骨院院長藤井です。
気がついたら首の後ろに手がいっている。
お風呂で肩をぐっと押している。
そのときは気持ちがいいんですよね。

でも次の日、前より硬くなっている気がする。
「やらないほうがいいのかな…」と思いながら、やっぱり手がいってしまう。
今日はその理由と、代わりにできることをお話しします。
「肩がこると、つい自分で揉んでしまうんです」というご相談
揉むのをやめられない、というご相談をよくいただきます。
動画で「ここを揉むといい」と紹介されているのを見てまねをしてみた。
コリを見つけるたびに押し込んでしまう。
肩や首のつらさを抱えたまま一日を過ごすのは、しんどいことですよね。
なんとかしたくて手がいくのは自然なことです。
ただ、体の側で起きていることを知っていただくと、同じ手の使い方でも結果が変わってきます。
揉んだ直後は軽いのに、しばらくすると前より硬く感じるのはなぜ?
これ、皮膚にできる「タコ」とまったく同じことなんです
ペンを強く握り続けたり、合わない靴で同じところが擦れ続けたりすると、皮膚にタコができますよね。
あれは、体が「これ以上ダメージを受けたら困る」と考えて、わざと皮膚を厚く硬くしている守りの反応なんです。

弱っているから硬くなったのではなく、守るために硬くしているわけですね。
実は、筋肉もまったく同じです。
強い刺激を与え続けると、筋肉も「壊されないように守らなきゃ」と警戒して、どんどん組織を硬くして身を守ろうとします。
だからこそ、無理に強い力でほぐすのではなく、体が安心してゆるめるような「心地よい刺激」のほうが大事だと、私は考えています。
体の中では、こんなことが起きていると考えられています
もう少しだけ、中で起きていることをお話しさせてください。
大きく三つあります。
ひとつめは、筋肉の中のセンサーが働くことです。
筋肉の中には筋紡錘(きんぼうすい)というセンサーがあり、強く押されると「このままではちぎれる」と脳や脊髄に信号を送ります。
すると体は守るために、その筋肉をギュッと縮ませます。
押している最中から、もう硬くなっていくわけです。
ふたつめは、痛みが血の流れを落とすことです。
強すぎる刺激は、体にとっては痛みでありストレスです。
交感神経が優位になって血管が締まり、血の流れが落ちます。
届く酸素が足りなくなれば、筋肉はしなやかさを失ってまた強張る。
痛みが次の硬さを呼ぶ、という悪循環ですね。
みっつめは、細かい傷が積み重なることです。
強く押しすぎると、筋膜や筋線維に目に見えない傷ができます。
修復のとき、体はコラーゲンの線維を増やして補強します。
これをくりかえすと、傷あとが硬く盛り上がるのと同じように、筋肉が硬い組織に置きかわることがあります。
線維化(せんいか)と呼ばれる、ゆるみにくい状態ですね。

これらは体の仕組みとして考えられていることで、揉んだ方すべてにこうなると決まっているわけではありません。
「痛いほどよい」ということはない、とおぼえていただければ十分です。
硬いところは原因ではなく、結果として出ていることがあります
当院では、体の歪みを整えることを大事にしています。
簡単に言うと、こういう流れで考えています。
体には癖がある → 癖が体の歪みを作る → 歪みがあると血の流れが落ちる → 流れないところが硬くなる → やがて痛みとして出てくる
硬いところは、この並びの一番最後に出てくるんです。
つまり結果であって、引き金そのものとは限りません。
結果だけを押しても、引き金が残っていれば、また同じところが硬くなります。
久しぶりに引き出しから出した電源コードは、一度まっすぐ伸ばしても、手を離すとすぐ曲がってしまいますよね。
体に染みついた癖も、それと似たところがあります。
揉むことについては、なぜ揉んではいけないのか?体の歪みを正しく理解し、症状を軽減するための日常生活のポイントにも書いています。
首や肩の硬さが、首や肩から来ていないことがあります
背中が丸くなっていると、頭は前に出ます。
その頭を、首の後ろの筋肉が一日中ささえることになります。

首そのものが悪いというより、支える仕事が増えてしまっているわけですね。
揉んでも揉んでも戻ってくる。
そういうときは、引き金が別の場所にあるのかもしれません。
もちろん、これがすべての原因ではありません。
ただ、首と肩だけを見ていても話が進まないことは、わりとあるんです。
実はこれ、私自身の失敗でもあるんです
治療の勉強会に出たときの話です。
師匠の先生に歪みを整えていただいて、すっきりした状態で昼食を迎えました。
その後の休憩時間、私はストレッチをしながら待っていました。
そこへ師匠から「今やってたこと、やってみて」と声がかかったんです。
実は私、ストレッチをしながら無意識に足の裏を揉み揉みしていました。
言われたとおりにやって立ってみると、体は見事に元の歪んだ状態に戻っています。
しかも朝より酷いやん、と。
ダメだとわかっているのに、やってしまったわけです。
ついつい手がいってしまう。
気持ちがいいから触ってしまう。
これは誰にでも起こることです。
ですから、揉んでしまったご自身を責めなくて大丈夫です。
やってしまったなと思ったら、代わりの手の使い方を知っていればいいんです。
揉む代わりに私がおすすめしているのは「皮膚をさする」です
私は、ゴリゴリ揉むことはおすすめしていません。
その代わりにお伝えしているのが、皮膚をさすることです。
硬そうなところの皮膚を、伸びるようにさする
やり方は簡単です。
硬そうだなと思うところ、あるいは手を当てて気持ちいいと感じるところに、手のひらをそっと置きます。
そしてその皮膚が伸びるように、さすったり、軽く引っぱったりしてみてください。
筋肉を押し込むのではありません。
動かすのは皮膚です。
手のひらと皮膚がいっしょに動いて、下の筋肉との間がすべるくらいで十分なんです。

力加減は「痛みの手前」で止めてください
痛くしなければ意味がない、と思っておられる方は多いのではないでしょうか。
そうではないんです。
痛みが出た時点で、さきほどの守りの反応が始まってしまいます。
気持ちいいところで止める。
硬いところを探して押し込まない。
探すほど手は強くなっていきますからね。
突起のついたローラーのような、強い刺激の出る道具を当て続けるのも、できれば控えていただければと思います。

さする以外に、日常でできることが二つあります
押すより、温めるほうが体はゆるみやすい
熱いお湯に短くつかるより、ぬるめのお湯にゆっくりつかるほうが、体は力を抜きやすくなります。
蒸しタオルを首の後ろに当てるだけでも、ずいぶん違うと感じる方がおられます。
正しい姿勢より、同じ姿勢を続けないこと
姿勢を正しくしようとがんばるのは、なかなか続かないものですよね。
それよりも、同じ姿勢を長く続けないほうが現実的だと思います。
三十分に一度、立ち上がって肩を大きく回す。
ゆっくり息を吐きながら胸を開く。
強く伸ばす必要はないんです。
日ごろのお手入れについては、ぎっくり腰が1ヶ月以上治らないのはなぜ?慢性腰痛に移行させない3つのポイントにも書いています。
こんなときは、医療機関で診てもらってください
肩こりだと思っていたものの背景に、別のことがある場合もあります。
医師の診察が必要な場合がありますので、次のようなときは医療機関を受診してください。
手や指がしびれる、力が入りにくい。
じっとしていても痛む、夜中に痛みで目が覚める。
発熱をともなう。
ぶつけたあとから痛みが続いている。
頭痛やめまい、吐き気が続いている。
こういうときは、まず診てもらってからのほうが安心です。
よくある質問(Q&A)
Q1. 肩こりを自分で揉むのは、いけないことなのでしょうか。
いけない、ということではありません。
問題になりやすいのは強さのほうです。
痛みを感じるほど押し込むと、筋肉が守りの反応として縮むと考えられています。
手を当てるなら、皮膚がすべるようにさする程度にとどめてみてください。
Q2. 揉んだあとに「もみ返し」が出るのはなぜですか。
強い圧で筋膜や筋線維に細かい傷ができ、炎症が起きているためと考えられています。
だるさや痛みが数日続くようなら、その強さはご自身の体に合っていなかったのだと思います。
Q3. マッサージ機や、突起のついたローラーを使うのはどうですか。
道具そのものが悪いわけではありませんが、同じところに強く当て続けるのは控えてください。
道具は手と違って、痛みの手前で止まってくれません。
使うなら短い時間で、気持ちいいと感じる範囲にとどめてください。
Q4. どれくらい続く肩こりなら、相談したほうがよいですか。
二週間ほど経っても変わらないときや、だんだん強くなっているときはご相談ください。
しびれや力の入りにくさ、じっとしていても痛む、発熱をともなう、ぶつけたあとから続いている。
こういうときは、まず医療機関を受診してください。
Q5. 肩こりは温めるのと冷やすのと、どちらがよいのでしょうか。
ぶつけた直後のように、熱をもって腫れているときは冷やします。
そうではない、長く続いている肩の重さであれば、温めるほうが合っていることが多いようです。
迷われたときは、当てて気持ちがいいと感じるほうで構いません。
揉まずにいるのは、はじめは物足りなく感じると思います。
それでも手のひらでそっとさすることを続けていただくと、ご自身の体がどんな刺激を求めているのかが、だんだんわかってくるはずです。
つらいときは、ひとりで抱えずご相談くださいね。
🖊️ この記事を書いた人
氏名:藤井 敦志(ふじい あつし)

資格:柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師
兵庫県たつの市でフジイ整骨院を開業しています。骨・筋肉・関節の専門家である柔道整復師と、はり師・きゅう師の国家資格を持ち、体の痛みや不調を幅広く診ています。自費専門・完全予約制のため、お一人おひとりの状態をじっくり確認しながら治療を行っています。
フジイ整骨院
兵庫県たつの市龍野町日飼341-7(駐車場7台)
当院は完全予約制です。
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痛みが強いとき、長引くとき、しびれや力の入りにくさがあるときは、医療機関の受診をおすすめします。
柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師 藤井 敦志


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