【この記事のまとめ】「肩こりだと思っていたのに、腕を上げた瞬間に肩の奥がズキッとする」。服を着る、髪を結ぶ動作まで気になってきた。そんな方に、肩こりと五十肩のちがい、そしてなぜ肩だけでなく肩甲骨や背中まで整えるのかを、よくいただくご相談をもとにお伝えします。
「ただの肩こり」と思っていたのに、腕を上げるとズキッとする方へ
こんにちは。たつの市フジイ整骨院院長藤井です。
秋になって朝晩が少し冷えるようになると、「肩が重い」「首から肩甲骨まで固まる」と感じる方がふえてきます。
その中で気をつけていただきたいのが、「いつもの肩こりだと思っていたけれど、腕を上げると肩の奥が痛い」という症状です。
服を着るたびに肩を気にする。髪を結ぶのに一瞬ためらう。これ、地味にしんどいんですよね。
肩こりだと、首から肩にかけて重い、張る、だるい、という感じが中心です。でも五十肩だと、腕を上げる、後ろへ回す、服を着がえる。そういう特定の動きで、肩の関節そのものに痛みが出てくるんです。
五十肩というのは、みなさんがふだん使う呼び名です。お医者さんのカルテには「肩関節周囲炎(かたかんせつしゅういえん)」と書かれることが多いですね。肩の関節のまわりに炎症が起きて、動きが小さくなっている状態を、ひっくるめてそう呼んでいます。

ただ、私がたくさんの方を診てきて思うのは、「50代で肩が痛い=五十肩」ではない、ということです。
肩のトラブルは、肩そのものだけで起きているとはかぎりません。首からきていることもあれば、背中や肩甲骨の動きが小さくなった影響、体のゆがみの影響、というケースもあります。原因は本当にさまざまなんです。
だから、「五十肩だから治らない」と思わなくていいですよ。年齢だけで決めつけずに、どの動きで痛むのか、どこまで腕が上がるのか、首や肩甲骨は動いているのか。そこを確かめることが大事なんです。
洗濯物を干すときに、肩の奥が痛む|よくいただくご相談です
こんなご相談を、よくいただきます。
もともと肩こりはあって、「肩が張るのは仕事のせい」と思っていた。デスクワークの多い方に、よくある入り口です。
ある時期から、片方の肩がいつもより重いと感じるようになる。はじめは「夏の疲れが残っているのかな」くらいに考えておられます。

ところがある朝、洗濯物を物干しざおにかけようと腕を上げた瞬間、肩の奥にズキッとした痛みが走る。
「その時だけ変な動きをしたんかなと思ったんです」
最初はそう思われるそうです。でもそのあとも、高い棚の物を取る、髪をかわかす、上着にそでを通す。そういう動きで同じ痛みが出るようになる。
何もしなければ強く痛むわけではない。だから「もう少し様子を見よう」と過ごしているうちに、手を背中がわに回す動作までしにくくなってくる。こういう流れが多いです。
そして、みなさんがいちばん気にされるのが「これって五十肩ですか?」ということ。まわりに五十肩になった方がいて、「夜も眠れないくらい痛くなった」「半年以上腕が上がらなかった」と聞いている。それで不安になられるんですね。

痛いのは肩。でも、ついてきていないのは肩甲骨と背中です
これまで診てきた中で、よく見かける形があります。
腕を正面から上げていくと、途中で痛みが出る。ただ、肩の関節だけを見ていくと、もうひとつ気になるところがあるんです。
肩甲骨が、腕の動きについてきていない。背中も、痛むほうへひねりにくくなっている。
腕を上げる動作は、肩の関節だけでやっているわけではないんですね。
肩甲骨が背中の上をすべるように動いて、背中やろっ骨まわりもいっしょについてくる。たとえるなら、腕は一本の枝ではなくて、幹からのびている枝です。幹がしなってこそ、枝は大きく動けます。

この幹の動きが小さくなって、肩の関節だけでがんばって腕を上げようとしている。そういう方が多いんです。
五十肩の初期症状と肩こりは、何がちがう?
肩こりと五十肩は、ご本人には区別しにくいことがあります。
肩こりだと、「肩が重たい」「首から肩が張る」という感じが中心です。もんでもらうと楽になる。温めると楽になる。腕そのものは、わりと動かせます。
五十肩だと、ようすがちがいます。じっとしていても痛いときがある。固まって動かない。「腕を上げると特定の角度で痛い」「後ろに手を回しにくい」「服のぬぎ着がしづらい」。動きにともなう痛みと、動く範囲のせまさが目立ってくるんです。
すすむと、夜間痛(やかんつう)といって、夜寝ているときや寝返りで肩が痛むこともあります。
ただし、五十肩の初期は「少し肩がこる」「腕を上げると何となく引っかかる」程度から始まることもあります。だから最初は肩こりだと思って、そのままにしてしまう方もいらっしゃるんですね。
【研究データ】五十肩は「放っておけば1〜2年で自然に治る」と言われてきました。でも海外で223人を平均4.4年追いかけた研究では、約4割の方に何らかの症状が残っていたと報告されています(多くは軽いものでしたが、いちばん多かったのは痛みでした)。「そのうち治る」と待つより、早めに動きを確かめておくほうがよい理由のひとつです。
出典:Hand C, et al. Long-term outcome of frozen shoulder. J Shoulder Elbow Surg. 2008
もうひとつ。肩の動きは、肩甲骨や背中とつながっています。肩甲骨がうまく動かないまま腕を上げると、肩の関節だけに負担が集まりやすい。背中が丸く、胸がちぢこまった姿勢だと、肩甲骨が動ける範囲も小さくなります。
秋の冷えについては、「冷えたから五十肩になる」と単純には言えません。ただ、気温が下がって体を動かす機会がへったり、寒さで肩をすくめる姿勢がふえたりすると、肩や背中のこわばりを感じやすくなる方はいます。もともと動きが小さくなっている方だと、それをきっかけに肩の不調に気づくこともあるんですね。
50代は、仕事や家のことをふつうにこなしている一方で、若いころほど体を大きく動かす機会がへっている年代です。「筋力がない」というより、「肩甲骨や背中を大きく使う場面がへっている」。それが肩の動きにひびいているケースは、少なくありません。
肩だけを整えるより、体ぜんたいを整えたほうが早い理由
肩に痛みがあれば、まず肩の関節の状態を確かめます。ただ、それだけではありません。首、背中、肩甲骨、骨盤まで、体ぜんたいの動きを見ていきます。
痛いところを整えることは、もちろん大事です。でも、痛いところだけを整えても、そこへ負担を送りこんでいる場所が変わらなければ、またもどってしまう。体ぜんたいを整えてからのほうが、結果として治りが早いんです。
肩甲骨の動きが小さく、背中もかたい。そういう場合は、肩の関節だけでなく、背中や肩甲骨まわりが動きやすくなるように、体ぜんたいを整えていきます。
施術のあとは、もう一度、痛みが出ていた角度までゆっくり腕を上げていただきます。
腕が上がる角度や肩甲骨の動きを、その場で確かめていただきます。
だからこそ、施術の前と後で同じ動作を確かめていただくようにしています。何がどう変わったのか、ご本人にわかっていただくためです。
長年、多くの五十肩の患者さんを診させていただいてきましたが、同じ「肩が上がらない」でも原因はひとりずつちがいます。肩そのものへの負担が強い方もいれば、背中や肩甲骨の動きが大きくひびいている方、首や姿勢との関係が強い方もいらっしゃいます。
洗濯物を干すとき。上着を着るとき。そういう日常の動きのしやすさを、目安にしていきます。
大事なのは、痛みをがまんしてむりに動かすことでも、反対にまったく動かさないことでもありません。そのときの肩の状態に合わせて、どのくらい動かしてよいのかを見きわめること。ここが、いちばん大事なところだと思っています。

よくある質問(Q&A)
Q1. 動かしたほうがいいですか? 安静にしたほうがいいですか?
どちらか一方、ではないんです。痛みをがまんしてむりに動かすのはおすすめしません。でも、まったく動かさないでいると、固まっていくこともあります。痛みが出ない範囲で、日常の動きを続ける。それが基本です。どこまで動かしてよいかは肩の状態で変わるので、そこは一度、確かめてもらってください。
Q2. 温めたほうがいいですか? 冷やしたほうがいいですか?
肩こりなら、温めると楽になることが多いです。五十肩でも、じっとしていて痛むほど強い炎症がないなら、お風呂で温めるのはかまいません。ただ、はれて熱を持っている、夜ズキズキして眠れない。そういうときは温めると悪化することもあるので、まずお医者さんに診てもらってください。
Q3. 病院と整骨院、どちらに行けばいいですか?
強い夜間痛がある、腕に力が入りにくい、転んだりぶつけたりしたあとから急に痛い、しびれがある。こうしたときは、まず整形外科で診てもらってください。骨や腱に問題がないとわかったうえで、それでも動きが悪い、肩甲骨や背中がかたい、という場合に、当院のような整骨院がお役に立てることがあります。
Q4. 放っておいても治りますか?
「1〜2年で自然に治る」と言われることが多いです。実際、そうなる方もいらっしゃいます。ただ、さきほどの研究データのように、数年たっても何らかの症状が残る方が4割ほどいたという報告もあります。待つだけでなく、動く範囲のうちに体のゆがみを確かめておくほうが、あとが楽だと思いますよ。
まとめ|むりに動かさず、動く範囲でゆがみを整える
「肩こりだと思っていたのに、腕を上げると肩の奥が痛い」。こうした変化が出てきたら、いつもの肩こりと同じとはかぎりません。腕を上げにくい、後ろへ回しにくい、服を着る動作で痛い。そういう症状が続くなら、肩の状態を一度確かめたほうがいいです。
ただし、五十肩かどうかを自分だけで判断するのはむずかしいものです。強い夜間痛がある、腕に力が入りにくい、転倒やけがのあとから急に痛くなった、しびれがある。そういう場合は、整形外科などお医者さんでの確認が必要です。
一方で、肩の関節に大きな問題がなくても、肩甲骨や背中のかたさで腕の動きが小さくなっている方もいます。肩、肩甲骨、背中、首は、べつべつに動いているわけではありません。腕を上げるひとつの動作にも、体のいくつもの場所がかかわっています。
50代になると、「これが五十肩か」と、つい年齢で納得してしまいたくなりますよね。でも、年齢だけで片づけなくていいんです。「どの角度で痛むのか」「肩甲骨は動いているのか」「背中が固まっていないか」。そこを見ていくと、いまの肩の状態が見えてきます。
むりに動かそうとしないでください。動かないのは、体が「いまは動いちゃダメ」と言っているサインです。動く範囲のなかで、体のゆがみを確かめて整えていく。それで十分なんです。
いまの自分の状態がふつうなのか、何かあるのか。それはひとりで判断せず、人に相談してみてください。相談することが、肩の動きを守るいちばんの近道だと思っています。
🖊️ この記事を書いた人
氏名:藤井 敦志(ふじい あつし)

資格:柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師
兵庫県たつの市でフジイ整骨院を開業しています。骨・筋肉・関節の専門家である柔道整復師と、はり師・きゅう師の国家資格を持ち、体の痛みや不調を幅広く診ています。自費専門・完全予約制のため、お一人おひとりの状態をじっくり確認しながら治療を行っています。
フジイ整骨院
兵庫県たつの市龍野町日飼341-7(駐車場7台)
当院は完全予約制です。
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痛みが強いとき、長引くとき、しびれや力の入りにくさがあるときは、医療機関の受診をおすすめします。
柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師 藤井 敦志

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