
【この記事のまとめ】テニスのときだけだった肘の外側の痛みが、鍋やペットボトルでも出るようになることがあります。テニス肘(外側上顆炎)と手首の腱鞘炎は別のものですが、どちらも手首と指の使い方が関わります。ちがいと、負担を減らしてから少しずつ戻していく順番、今日からできることをお伝えします。
ラケットを握ると肘が痛い。料理でも痛くなってきた方へ
こんにちは。たつの市フジイ整骨院院長の藤井です。
「テニス肘」という名前を聞くと、テニスをする人の病気だと思われるかもしれません。でも実際には、台所に立つ方や、荷物を持つお仕事の方にも、同じ肘の外側の痛みが出ます。手首と指をくりかえし使う方なら、どなたにも起こりうる痛みなんです。
よくいただくのは、「以前と同じようにテニスをしているだけなのに、肘が痛くなってきた」「最初はラケットを振ったときだけだったのに、このごろは鍋まで持ちにくい」というご相談です。
ここで迷われる方が多いと思います。我慢して使いつづけるのもつらいですし、かといって腕をまったく使わないわけにもいきませんよね。ですから、やめるか続けるかの二択ではなく、どの動きで痛むのかをはっきりさせて、そこだけ減らすという道を考えていきます。
それから、肘が痛いからといって、肘だけに原因があるとはかぎりません。ラケットを振る動きは、足もとから背中、肩、腕へと力がつながっていく動きです。台所でも同じで、肩や背中がうまく使えていないと、そのぶんを前腕と手首がかぶってしまうことがあります。
よくいただくご相談|テニスより、料理のほうが困るようになってきた
最初に気づかれるのは、バックハンドで少し振りおくれたときや、強く握ったときの「ピリッ」とした痛みだという方が多いです。数日休むと楽になるので、そのまま続けてしまわれます。

そのうちに、片手でフライパンを持ちあげた瞬間に肘がズキッとする、重い鍋を流し台へ移すときに痛む、と変わってきます。
そして、こうおっしゃいます。
「テニスをしている時より、料理の時のほうが困るようになってきたんです」
ペットボトルのふたを開ける、雑巾をしぼる、買い物袋を持つ。こういう、一日のうちに何度もある動きで痛むようになると、生活のほうがしんどくなってきますよね。

こうしたご相談で、私が肘以外に見ているのは次のようなところです。
前腕にかたい張りが出ていないか。手首をそらせる動きで肘が痛まないか。肩を動かしたときに、左右で肩甲骨の動きにちがいがないか。体をひねる動きに左右差がないか。
ご本人は「肘を使いすぎただけ」と思っておられるのですが、見せていただくと、ラケットを振るときも鍋を持つときも、手首と前腕に負担が集まりやすい使い方になっていることがあります。
テニス肘(外側上顆炎)と、手首の腱鞘炎はどうちがうのか
外側上顆炎は、一般に「テニス肘」と呼ばれているものです。肘の外側には、手首や指を動かす筋肉の腱がくっついています。そこにくりかえし負担が加わって痛みが出ると考えられています。

特徴は、肘を曲げ伸ばししたときだけでなく、「物をつかんで持ちあげる」「タオルをしぼる」「手首をそらす」といった、手の動きで肘が痛むことです。
いっぽう腱鞘炎は、腱と、それを包む腱鞘というトンネルのような組織のあいだで炎症などが起こっている状態です。手首の親指側が痛むドケルバン病がよく知られています。

ですから、この二つは同じものではありません。ただ、どちらも手首や指をくりかえし使う動きと関わるので、ご本人には「手から肘まで全部痛い」と感じられることがあります。
そして私が大事にしているのは、痛い場所だけを見ないことです。
たとえばバックハンドで、体幹や肩が回らずに手首だけでラケットを操作すると、前腕の筋肉にくりかえし大きな負担がかかります。四人でかつぐはずのみこしを、一人でかついでいるようなものです。一回なら持てても、何度もくりかえせばその一人がまいってしまいます。
肘の筋肉は、どこから始まっているか
「テニス肘だから肘を揉めばいい」と考えたくなるのですが、ここで一度、筋肉がどこから始まっているかを見てみてください。
肘を曲げ伸ばしする筋肉のいくつかは、肘ではなく肩甲骨から始まっています。上腕の前側も後ろ側も、もとをたどると肩甲骨についているんです。
ということは、肩甲骨と背中が動きにくいままだと、肘から先だけでがんばる形になります。肘のまわりをいくらゆるめても、また同じところへ負担が戻ってきます。肘の痛みがなかなか取れないときは、こういうことが起きている場合があります。ですから私は、肘だけでなく肩甲骨と背中まで動かせるようにしておきたいと考えています。
施術は、だいたい次の順番で進めます。
はじめに体全体の緊張をゆるめます。次に、痛む動きをその場で再現してもらって、どこに負担が集まっているかを確かめます。そのうえで動きにくいところを動かせるようにして、最後にもう一度、体全体を整えます。

施術のあとは、来られたときに痛かった動きをもう一度やってみてもらいます。ただ、そこで動きが変わったからといって、傷んだ組織がその場でもとどおりになったという意味ではありません。ここは正直にお伝えしています。動きの変化は、その方の体の使い方を確かめるための材料のひとつです。
長引かせないための順番|負担を減らす → 動きを確認する → 少しずつ戻す
肘や手首が痛くなると、「ストレッチをすればいいですか」「筋トレをしたほうがいいですか」とよく聞かれます。
でも、痛みが強いときに鍛えたり、痛いところを強く伸ばしたりするのは、順番が逆になりやすいんです。先にやっておくことがあります。
① まず、負担を減らす
痛みをくりかえしている動きを見つけて、そこを減らします。テニスなら練習量と、ラケットを握る力です。家事なら、重い鍋を片手で持つ動きを一度やめてみます。
② 次に、動きを確認する
手首だけでなく、肘、肩、肩甲骨、背中まで見ていきます。どこかが動きにくいせいで、肘と手首がそのぶんをかぶっていないかを確かめます。
③ そして、少しずつ戻す
落ちついてきたら、負荷を戻していきます。「痛くなくなったから、いきなり二時間テニス」ではありません。軽い動きから始めて、翌日に痛みが強くなっていないかを見ながら、一段ずつ上げていきます。
今日からできること
どれも、道具もお金もいらないことばかりです。
痛む動きを、書き出してみる
一日のうちで「あ、痛い」と思った動きをメモしてみてください。三つ四つ書き出すと、ご自分でも「この動きだったか」と気づかれます。減らす先がはっきりします。
重い鍋は、両手で持つ
片手で持ちあげる動きがいちばん肘にきます。両手を使えば、それだけで負担は分かれます。
ペットボトルは、体に寄せて開ける
腕を前に伸ばしたまま開けると、前腕だけでひねることになります。おなかの前まで引き寄せて、体ごと使ってください。
手荷物は、手のひらを上に向けて持つ
手の甲を上にして持つと、肘の外側に付いている筋肉が引っぱられます。手のひらを上に向けて持つと、そのつっぱりが減ります。買い物袋を持つときに試してみてください。
指のストレッチは、欠かさない
肘の外側の筋肉は、指につながっています。反対の手で指をそっと手前に反らせて、前腕の外側が伸びるところで止めます。痛みが出るところまでは伸ばしません。気づいたときに、一日何回でもかまいません。
痛いところを、強く揉まない
つい揉みたくなるのですが、炎症が起きているところを強く押すと、かえって長引くことがあります。
お風呂に、ゆっくり浸かる
シャワーだけで済ませず、湯船に浸かってください。前腕のかたさがゆるみやすくなります。

サポーターやテーピングについて
テニス肘用のバンドをつけていただくのはかまいません。ただ、つける場所が大事です。肘の関節そのものではなく、肘から二、三センチ下、手首側に巻いてください。筋肉のおなかの部分を軽く押さえる形になります。きつく締めすぎないようにしてください。
こんなときは、お医者さんへ
肘や手首が大きくはれている。じっとしていても強く痛む。握力が急に落ちた。強いしびれがある。転んだことがきっかけで痛くなった。
こうしたときは、テニス肘や腱鞘炎と自分で決めてしまわずに、整形外科などで状態を確かめてください。
よくある質問(Q&A)
Q1. テニスはやめないといけませんか?
いきなりやめていただくことは、あまりありません。痛みが強い時期だけ、練習の量とラケットを握る力をゆるめてもらいます。落ちついてきたら、短い時間から戻していきます。
Q2. サポーターは使ったほうがいいですか?
使っていただいてかまいません。場所だけ気をつけてください。肘の関節に直接ではなく、肘から二、三センチ下の手首側です。ただ、サポーターは負担を減らすための道具なので、それをつけたから前と同じだけ使ってよい、ということではありません。
Q3. 冷やすのと温めるの、どちらがいいですか?
使った直後にズキズキして熱を持っているときは冷やします。朝からこわばっている、動かしはじめがつらいというときは温めてください。迷われたら、やってみて楽なほうでかまいません。
Q4. どれくらいで元のように使えますか?
これは、痛みが出てからの期間や、ふだんの手の使い方によってずいぶんちがいます。日数で決めるより、「その動きをやった翌日に、痛みが強くなっていないか」を目安にして、一段ずつ戻していってください。
まとめ|手を使わないわけには、いきませんから
テニスも料理も、手を使わずに済ませることはできません。だからこそ、痛いところだけを追いかけるのではなく、一度「なぜこの動きで肘に負担がかかるのだろう」と考えてみてください。
負担を減らす。体の使い方を確かめる。そして少しずつ戻していく。
この順番を守っていただくことが、好きなテニスと、毎日の家事を続けていくための近道になると思います。
肘の痛みが長引いているとき、どの動きを減らせばいいのか分からないときは、一度ご相談ください。
🖊️ この記事を書いた人
氏名:藤井 敦志(ふじい あつし)

資格:柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師
兵庫県たつの市でフジイ整骨院を開業しています。骨・筋肉・関節の専門家である柔道整復師と、はり師・きゅう師の国家資格を持ち、体の痛みや不調を幅広く診ています。自費専門・完全予約制のため、お一人おひとりの状態をじっくり確認しながら治療を行っています。
フジイ整骨院
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痛みが強いとき、長引くとき、しびれや力の入りにくさがあるときは、医療機関の受診をおすすめします。
柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師 藤井 敦志

コメント
コメント一覧 (1件)
[…] 手と肩と首のつながりについては、テニス肘と手首の腱鞘炎の話でも書きました。 […]