
【この記事のまとめ】栗を一気にむいたあとに、親指のつけ根や手首が痛くなる方がいらっしゃいます。栗はかたいので、同じ力の入れ方を何十回とくりかえすことになります。痛みが出る場所と、むくときの姿勢、休み方・温め方・のばし方、お医者さんへ行く目安をまとめました。
毎年、栗むきのあとに手首が痛くなる方へ
こんにちは。たつの市フジイ整骨院院長藤井です。
この時期になると、畑のある方や、ご近所から栗をいただく方が多いですよね。拾いに行かれる方もいらっしゃいます。
ただ、むくのが大変なんです。うちでも家内が栗をもらってくると、うれしそうな顔と「は〜……」という顔が同時に出ます。好きだからやるけれど、しんどい。そういうものですよね。
そして秋になると、こういうご相談をいただくようになります。
「栗を一気にむいたら、次の日から親指のつけ根と手首が痛いんです」
包丁でむく方も、栗むき用のはさみを使う方もいらっしゃいます。どちらにしても、痛くなるのはたいてい親指です。
せっかくいただいた栗ですから、むかないわけにもいきませんよね。やめてくださいとは申しません。やり方を少し変えるだけで、だいぶ違ってきます。
なぜ、栗をむくと親指と手首が痛くなるのか

前腕から手首をとおって、親指まで細いひものようなもの(腱)がのびています。親指を動かすたびに、このひもが手首のところを行ったり来たりするんです。
栗はかたいです。一つむくのに、押さえて、刃を入れて、ひねる。この動きを何度もくりかえします。それが何十個となると、手首を通るひもは、ものすごい回数こすれることになります。
このひもは、腱鞘(けんしょう)というトンネルのような組織の中を通っています。こすれが続くとトンネルの中で引っかかるようになり、痛みが出てくると考えられています。これが腱鞘炎で、親指側のものはドケルバン病と呼ばれることもあります。
「一回やりすぎただけやから、ほっといたら元に戻るやろ」と言われることがあります。たしかに、軽ければおさまることもあります。
ただ、痛いまま手を使い続けると、かばう動きが始まります。親指を使わないように持つ、反対の手でやる、腕ごと動かす。すると手首だけでなく、肘から肩、首のほうにまで負担が回っていくことがあります。
ですから、早いうちに手を休めてあげてほしいんです。
当院では、どこから来ている痛みかを順にみていきます
痛いのは親指のつけ根でも、そこだけに原因があるとはかぎりません。
ですから当院では、どの筋肉から来ている痛みなのかを先に考えます。親指を動かすひもが、どこから始まって、どこを通って、どこまで続いているのか。そのとおり道に、力の入りすぎているところはないか。首から腕へ向かう神経の流れに、引っかかりそうなところはないか。こういうことを順に確かめていきます。
みていく順番があります
まず肩と首のあたりをゆるめます。次に、上の腕の緊張を取ります。そのうえで、肘から下を入念にみていきます。
遠回りに見えるかもしれませんが、この順番を大事にしています。手首だけを強く揉んでも、またすぐに戻ってくることがあるんです。どこかに力の入りすぎが残っていると、そこから先の手が頑張らされてしまいますから。
その場しのぎにしない
もう一つ考えているのが、次にどこへ負担が移りそうかです。
親指をかばって持つようになると、人差し指や手首の反対側が働きます。そこも痛くなると、今度は腕ごと動かすようになって、肘から肩に来ます。痛みは、かばうたびに場所を変えていくことがあるんです。
ですから、いま痛いところを楽にするだけでなく、その先へ広げないために、どこを整えておくかまで含めて方針を立てます。
栗むきは、下を向いた姿勢で長く続きます。首が前に落ちて、肩に力が入ったまま手先に集中しますから、首と肩にも残ります。手だけでなく、首から上につらさが出ることもあるんです。以前、栗むきと頭痛の話を書いたことがありますので、よければそちらもどうぞ。
手と肩と首のつながりについては、テニス肘と手首の腱鞘炎の話でも書きました。
栗をむくときの姿勢を、一度見てみてください

低いちゃぶ台や、床に座ってむいていませんか。あの姿勢だと背中が丸まって首が深く前に落ちるので、肩はずっと緊張したままになります。
できれば、いすに深く座って、ひじがのる高さの台で作業してみてください。ボウルは体の近くに置きます。遠いほど腕を前に伸ばした姿勢が続いて、肩がつらくなります。
今日からできること

① 時間か個数で、区切りを決めておく
いちばん大事なのはこれです。やりだすと集中してしまって、気がついたら一時間も二時間もたっていますよね。
二十分から三十分に一度、手を離してください。タイマーをかけておくか、「今日は三十個まで」と決めてから始めます。途中でやめるのが気持ち悪いのは分かるのですが、全部むききった翌日に痛くなるより、ずっといいです。
② 温める
作業のあとに、洗面器にぬるめのお湯をはって両手をつけてみてください。前腕のかたさがゆるみやすくなります。夜は湯船にもつかってください。
③ そっと、のばす
腕を前にまっすぐ伸ばして、手のひらを前へ向けます。そこへ反対の手を添えて、指をゆっくり手前に反らせてください。

これは指の腱を伸ばす体操です。栗をむくときに使っているのは、指を曲げて押さえる力です。縮むほうばかり使っているので、反対に伸ばしてあげます。
手首から手のひら、指にかけて、すっと伸びるところで止めてください。痛みが出るところまでは伸ばしません。十秒くらいで十分です。作業の合間に、気づいたときで大丈夫です。
④ 道具と下ごしらえを変えてみる
栗むき用のはさみは、力の入れ方が包丁とちがうので、合う方には楽になります。それより効くのが下ごしらえです。ひと晩水につけてからむく、さっとゆでてからむく。皮がやわらかくなるぶん、入れる力が減ります。
⑤ テープやバンドは、作業のあいだだけ
親指と手首を支えるサポーターを使っていただくのはかまいません。ただ、つけていると楽なぶん、使いすぎてしまうことがあります。作業をするあいだだけにしておくのが無難です。
しこりや、押して痛いところがないか確かめてください
むき終わったあとに、手のひら側から自分の手を見てみてください。

確かめるのは、四本の指のつけ根と、親指のつけ根です。反対の手の親指で、軽く押してみてください。
ここにコリッとしたしこりがある、押すと痛い。そういうところが出てきたら、手当てが必要だと思ってください。すでに炎症が起きているかもしれません。
そのままむき続けると、指が引っかかるようになったり、痛みが手首や肘のほうへ広がったりすることがあります。お早めに、医療機関か整骨院で診てもらってください。
「このくらいで行っていいのかな」と思われるかもしれません。早いほうがいいです。しこりが小さいうちのほうが、やれることも多いですから。
こんなときは、お医者さんへ
親指のつけ根が腫れている。じっとしていてもズキズキ痛む。指が引っかかって、自分では伸ばせない。手にしびれがある。力が入らず、物を落とす。
こうしたときは、使いすぎと決めつけずに、整形外科などで状態を確かめてください。
よくある質問(Q&A)
Q1. 栗をむいたあとの手首の痛みは、放っておいても元に戻りますか?
軽ければおさまることもあります。ただ、痛いまま使い続けると、かばう動きから肘や肩に負担が回ることがあります。一週間ほど続くようなら、一度みてもらってください。
Q2. 一日にどれくらいまでなら、むいて大丈夫ですか?
何個まで、とは申し上げにくいです。手の使い方も、栗のかたさもちがいますから。二十分から三十分ごとに手を離すこと、翌朝に痛みが残っていないか。この二つで見てみてください。
Q3. 冷やすのと温めるの、どちらがいいですか?
むいた直後にズキズキして熱を持っているときは冷やします。翌朝のこわばりや、動かしはじめのつらさには温めるほうが向いています。迷われたら、やってみて楽なほうでかまいません。
Q4. 痛いところを揉んでもいいですか?
強く揉むのはおすすめしません。炎症が起きているところを押すと、かえって長引くことがあります。そっと温めて、休ませてあげてください。
Q5. 包丁と栗むき用のはさみ、どちらが手にやさしいですか?
どちらが正解ということはありません。包丁は親指で押さえる力が強くなりやすく、はさみは握る力が続きます。かかる場所がちがうだけなんです。道具を変えるより、ひと晩水につけて皮をやわらかくするほうが、手は楽になります。
まとめ|栗は毎年やってきますから
栗の季節は毎年やってきます。そのたびに手首を痛めていては、もったいないですよね。
区切りを決める。温める。そっとのばす。そして、むくときの姿勢を見直す。どれも道具のいらないことばかりです。
それでも痛みが続くとき、親指に力が入らなくて困っているときは、手だけでなく首や肩まで含めて一度みせてください。栗ご飯を気持ちよく食べていただきたいですから。
🖊️ この記事を書いた人
氏名:藤井 敦志(ふじい あつし)

資格:柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師
兵庫県たつの市でフジイ整骨院を開業しています。骨・筋肉・関節の専門家である柔道整復師と、はり師・きゅう師の国家資格を持ち、体の痛みや不調を幅広く診ています。自費専門・完全予約制のため、お一人おひとりの状態をじっくり確認しながら治療を行っています。
フジイ整骨院
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痛みが強いとき、長引くとき、しびれや力の入りにくさがあるときは、医療機関の受診をおすすめします。
柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師 藤井 敦志

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