(大会1か月前に膝が痛くなった方へ|走るか休むかの決め方)

【この記事のまとめ】大会1か月前に膝や股関節が痛くなると、休むのがこわくなります。でも体を見ると、まったく走れない方は多くありません。完全に止めるのではなく、練習のしかたを工夫して「ここまでは大丈夫」を積んでいく。その考え方と、走る前後のストレッチの使い分けをお伝えします。

 

秋の河川敷を、市民ランナーと青いスクラブの治療家が並んで走っているイラスト
やめるか続けるかの二択ではなく、走り方を一緒に組み立てていきます
目次

大会1か月前、「走ると膝が痛い」と焦っている方へ

 

こんにちは。たつの市フジイ整骨院院長藤井です。

 

秋から冬にかけては大会がふえます。それに合わせて、練習の距離を伸ばす方も多くなります。

 

この時期にふえるのが、こういうご相談です。

 

「最初は大丈夫なのに、10kmを超えると膝が痛い」「走った翌日に股関節の前が詰まる」「休めば楽になるけれど、走るとまた痛い」。

 

そして、みなさんこうおっしゃいます。

 

「大会まであと1か月しかないので、休むほうがこわいんです」

 

その気持ち、よくわかります。ここまで積んできたものがありますから。

 

先にお伝えしておきます。体を見せていただくと、まったく走れないという方は、そう多くありません。 やめるか続けるかの二択ではなく、やり方を変えるという道があります。

 

ただ、ひとつだけ気をつけていただきたいことがあります。痛みへの焦りから、さらに練習量を増やしてしまうこと。走れていないから不安になる時期ですが、痛みが出ている体で距離だけを積むのは、本番への近道とはかぎりません。

 

なぜ大会前に、膝や股関節が痛くなるのか

 

「フォームが悪いからだろう」と考えがちですが、それだけではありません。まず確かめたいのは、練習量の変化です。

 

それまで10kmほどだった方が、急に15km、20kmと走れば、筋肉や腱、関節にかかる負荷も増えます。心肺のほうは走れていても、脚がその負荷にまだ慣れていない。 そういうことが起こります。

 

平日は仕事をしながら週に2〜3回走り、休日に長い距離をまとめて走る。市民ランナーの方には、この形が多いですよね。

 

もうひとつ大切なのが、股関節と足首です。

 

着地するたびに膝は衝撃を受けますが、膝だけで受け止めているわけではありません。足首、膝、股関節、骨盤、体幹が連動して、負担を分けあっています。

 

股関節が十分に使えず骨盤が安定しないと、着地のときに膝が内側へ入りやすくなります。足首の動きが小さい場合も、そのぶんを膝や股関節が補うことになります。

 

走る動作は、左右の片足立ちを何千回もくりかえしているようなものです。 一回なら気にならない小さな左右差でも、10km、20kmと距離が伸びれば、膝や股関節への負担として表れてきます。

 

つまり「膝が悪い」というより、距離を伸ばしたことで、もともとあった左右差や、片脚で支えるときの不安定さが表に出てきた。そう考えるほうが自然です。

 

ランナーの腰から下を正面から描いたイラスト。左はひざが内側へ入った片脚着地、右はひざがまっすぐ乗った片脚着地
左は支えている側のひざが内側へ入った着地。右はひざが足の向きとそろっています

 

ここで気をつけたいのは、痛みをがまんしながらフォームだけを直そうとしないことです。「膝をまっすぐ」「骨盤を立てる」と考えすぎると、かえって体に力が入ります。まず必要なのは、その動きが自然にできる体の状態をつくることです。

 

走れる体かどうか、どこを見て決めるか

 

痛みがある方には、膝だけでなく、足首、股関節、骨盤、背中まで含めて動きを確かめます。

 

ランナーの場合に見るのは、片脚で立ったときの骨盤の安定、股関節の動き、足首のやわらかさ、左右の体重移動。このあたりです。

 

よく見かけるのは、片方の股関節の動きが反対より小さい、足首に左右差がある、片足立ちで骨盤が安定しにくい、片脚で軽くしゃがむと膝が内側へ入る。こういう形です。

 

すすめ方は、こういう順番です。

 

まず、体ぜんたいの緊張を取りのぞきます。かたまったままでは、どこがどう動いているのか見えてこないからです。つぎに、痛みが出る動きをその場で再現していただいて、どこに負担がかかっていたのかを確かめます。そして、動きやすい状態をつくってから、体ぜんたいを整えていく。

 

膝を強くもむことはしません。股関節や骨盤、足首がそれぞれ動きやすくなることを目指します。

 

施術の前と後で、同じ片足立ちや軽いスクワットをしていただいて、動きがどう変わったかを一緒に確かめます。

 

本番直前のメンテナンス

大会が目前というときは、バランスを整えてから、テーピングをします。

 

青いスクラブの院長が、横になった方のひざから下を手で確かめている院内の写真
テーピングの前に、ひざから下の動きを確かめます

 

順番が大事です。ゆがんだままテープで固めても、そのゆがんだ形を保つことになってしまいますから。整えてから、その状態を保つためにテープを使う。そういう使い方をしています。

 

止めるのではなく、やり方を変える

 

痛みが出たら、いったんストップ。これは守ってください。

 

ただし、完全に止めてしまうのではありません。 そこから少しずつ強度を上げていきます。

 

「ここまでは大丈夫」を、体に覚えてもらう

私がいつもお伝えしているのは、この考え方です。

 

まず、どれくらいで痛みが出るのかを知る。10分なのか、20分なのか。そして、その手前で止める。

 

もったいないと感じると思います。走れるのに止めるわけですから。でも、痛みの手前でやめると「痛くならずに走れた」が残ります。それをくりかえして、体に「大丈夫」を覚えてもらう。

 

「ここで痛い」ではなく「ここまでは大丈夫」。そちらを数えていくと、頭に残るものが変わってきます。

 

長く走れないなら、別の積み方がある

長い時間が無理でも、やれることはあります。

 

筋トレを取り入れる。坂道を使う。短い距離でも強度のある走りをする。距離を積めない時期は、こうしたやり方に切りかえます。

 

「走った距離」だけが練習ではありません。大会までの1か月を、そういう組み立てで使うこともできます。

 

今日からできること|走る前と走ったあとで、ストレッチを変える

 

走る前に、太ももやふくらはぎをじっと30秒伸ばしてから、すぐ走りはじめていませんか。

 

じっと伸ばすストレッチが悪いわけではありません。ただ、使うタイミングを分けると、体の反応が変わってきます。

 

秋の河川敷で、立って脚を前後に振るストレッチと、座って太ももの裏を伸ばすストレッチを並べたイラスト
走る前は動かすストレッチ、走ったあとはじっと伸ばすストレッチです

 

走る前は、動かすストレッチ

まず5分ほど歩いて、体を温めます。そこから関節を動かしていきます。

 

脚を前後に振る。膝を軽く上げながら歩く。かかとをお尻に近づける。足首を使って軽く弾む。どれも痛みのない範囲で。

 

大きく伸ばすことが目的ではありません。これから走る動きを、体に思い出させるイメージです。

 

走ったあとは、じっと伸ばすストレッチ

走り終わったあとは、反対です。太ももの前後、ふくらはぎ、お尻まわりを、ゆっくり伸ばして止める。

 

走る前は動かす、走ったあとは伸ばす。この使い分けだけでも、やってみる値打ちはあると思います。

 

そして、その日の調子を見る

準備のときの動きで、その日の体の状態がわかります。

 

脚が振りにくい。かかとがお尻に近づかない。いつもより重い。そういう日は、距離を落とす日です。準備運動を「調子を見る時間」として使ってみてください。

 

こんなときは、お医者さんへ

 

ひとつだけ、大事なお願いがあります。

 

膝がはれている。歩いても強く痛む。膝が引っかかる、またはガクッとくずれる感じがある。股関節に強い痛みがある。休んでいるのに悪くなっている。こうしたときは、「大会があるから」と走り続けず、整形外科などで状態を確認してください。

 

よくある質問(Q&A)

 

Q1. 痛いけれど大会には出たい。どう判断すればいいですか?

出る・出ないを先に決めるより、いまの体がどこまで動けるかを確かめるほうが先だと思います。痛みが出る手前がどのあたりか分かれば、当日の走り方も組み立てられます。はれや熱感があるとき、歩くだけで痛むときは別です。その場合はお医者さんに診てもらってください。

 

Q2. 湿布やテーピングをして走ってもいいですか?

痛みを感じにくくして走るのは、おすすめしません。体が出しているサインが見えなくなるからです。テーピングを使うなら、まず体のバランスを整えてから。ゆがんだまま固めると、その形を保つことになってしまいます。

 

Q3. 休むと練習不足になりませんか?

完全に休んでくださいとは言っていません。距離が積めない時期は、筋トレや坂道、短い距離の強度を上げた走りに切りかえる。そういうやり方があります。走った距離だけが練習ではありませんよ。

 

Q4. 大会が終わったら、どうすればいいですか?

終わってすぐは、体を休めてください。そのうえで、痛みが出ていた側の股関節や足首を一度確かめておくことをおすすめします。次のシーズンに同じところで止まらないために、オフの時期こそ見ておきたいところです。

 

まとめ|あと1か月だからこそ、整える

 

大会が近づくと「走っておかなければ」という焦りが出てきます。でも、痛みが出ている状態で距離だけを増やし続けるのは、おすすめできません。

 

まず考えてほしいのは、「なぜこの距離になると痛むのか」です。

 

練習量を急に増やしていないか。左右の股関節の動きに差はないか。足首は使えているか。片脚で支えたときに骨盤が大きく傾いていないか。そこを見ていくと、膝とは別のところに負担のきっかけが見つかることがあります。

 

そして、やめるか続けるかで悩まないでください。痛みが出たらいったん止めて、そこから少しずつ戻す。長く走れないなら、別の積み方をする。やり方を変える道があります。

 

ここまで練習してこられたのですから、「あと1か月で追い込む」だけでなく、「あと1か月だからこそ整える」という考えも持ってみてください。

 

スタートラインに、できるだけいい状態で立てるように。いまの膝や股関節から出ている小さなサインを、見逃さないでくださいね。

 

🖊️ この記事を書いた人

氏名:藤井 敦志(ふじい あつし)

資格:柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師

兵庫県たつの市でフジイ整骨院を開業しています。骨・筋肉・関節の専門家である柔道整復師と、はり師・きゅう師の国家資格を持ち、体の痛みや不調を幅広く診ています。自費専門・完全予約制のため、お一人おひとりの状態をじっくり確認しながら治療を行っています。


フジイ整骨院
兵庫県たつの市龍野町日飼341-7(駐車場7台)

当院は完全予約制です。

ネット予約(24時間受付)
お電話 0791-62-4339
LINEで相談する

受付時間・アクセス | 施術費 | よくあるご質問

痛みが強いとき、長引くとき、しびれや力の入りにくさがあるときは、医療機関の受診をおすすめします。

柔道整復師・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師 藤井 敦志

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次